BALLAD 名もなき恋のうた


 2011.10.25  クレヨンしんちゃんっぽくない 【BALLAD 名もなき恋のうた】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
クレヨンしんちゃんの実写版といえる本作。なぜあえて実写にしたのか疑問があったが、クレヨンしんちゃんの映画の中では一番実写に向いている作品かもしれない。アニメでは当然しんちゃんが主役だが、本作ではしんちゃんはちょっとしたオマケにすぎず、メインは又兵衛なのだろう。又兵衛のキャラは草ナギが演じるということで、くそマジメな役が良く似合う。それでいて、廉姫とのことをからかわれると、とたんに顔を真っ赤にし慌てるあたり、キャラになりきっている。見終わった感覚としては、アニメほど感動することはないが、それなりに感傷的な気分になれる。話題先行型の映画かもしれないが、悪くはない。出演者もしっかりとした演技をしており、見ていても時間の長さを感じさせない雰囲気がある。

■ストーリー

天正2年。小国、春日の武将の又兵衛は、合戦のさなか命を狙われるが危機一髪で突然現れた少年に救われる。未来から来たという真一の話に半信半疑の又兵衛だったが、廉姫から面倒を見るよう命じられ、困惑しながらも次第に真一と心を通わせていく。そんなある日、廉姫に婚儀の話が持ち上がる。相手は大国の大名、大倉井高虎。それは小国の春日にとって願ってもない申し出だったが…。

■感想
クレヨンしんちゃんは大人帝国がかなり大人の涙腺を刺激する物語だったが、本作の原作もそれに負けない人気作だ。アニメを実写化する上での様々な問題をうまく処理してはいるが、原作がクレヨンしんちゃんということで、売りの1つであるギャグに関しては、ほぼすべてがカットされている。アニメではシリアスな部分と絶妙なタイミングで割り込んでくるギャグとのハーモニーがすばらしかったが、本作ではそれがない。そのため、終始マジメな戦国時代の悲恋を描いた作品という印象しかない。

クレヨンしんちゃんを知らずに本作を見たらどう思うだろうか。単純な恋愛モノとしてどれほど感動できるのだろうか。アニメを知っている身としては、あらゆる場面で原作の映像がフラッシュバックしたので、それが良い方に作用し、感動を増幅させる効果があった。何も知らない人が見た場合に、純粋に感動できるのか。内容としては昔からあるパターンで、最後の泣き落としの場面であっても、映像で悲しさを増幅させるという王道を外していない。わかりやすいだけに入り込みやすいが、もっと別の何かを期待してしまう流れではある。

原作の評価は抜きにして、本作の単純な流れというのは賛否両論あるだろう。後半の若干ご都合主義的に感じるくだりや、すべてがうまくいったと思ったところで、衝撃的な出来事が起きる。幸せになってもらいたいという思いが強ければ強いほど、最後の場面では泣けるのだろう。ありきたりかもしれないが、草ナギと新垣結衣の演技が、新鮮な感動をはこんでくる。このパターンではほとんど泣かないだろうと心の中で感じていたが、思わずホロリとさせる雰囲気はある。

アニメの実写化というのは難しい。かろうじて成功といったところか。



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