クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦


 2009.10.24  大人も楽しめる 【クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
本作を原作として実写映画化されたらしい。オトナ帝国は子供向けというよりも大人にこそ見てもらいたい作品だった。本作もどちらかといえばかなり大人向けだ。時代的なものや切なくなるような恋愛模様。ところどころに散りばめられたギャグは確かに笑えるが、ベースとして目指しているのは感動作だろう。クレヨンしんちゃんというブランドを扱うがゆえに、外せない部分もある。その結果、中途半端な部分が目立ったがそれでも、ラストの展開には十分感動できる。実写映画化するのはちょっと大げさな気がしたが、本作単体としてはアニメ作品の中では良作だと思う。子供にこの感動が味わえるかは疑問だが、大人が見てもただのつまらないアニメ映画として終わることはないだろう。

■ストーリー

ある日の朝、庭を掘り返した飼い犬のシロが、古い文箱を発見。中には下手くそな文字で「おひめさまはちょーびじんだぞ」と書いてある。それは書いた覚えのないしんのすけ(矢島晶子)の手紙だった。その日の夢に出てきたおねいさんが「おひめさま」なんだと思った瞬間、しんのすけは戦国時代にいた。そこで春日家の家臣・井尻又兵衛(屋良有作)とおシリ合いになる。

■感想
クレヨンしんちゃんを普段からまったく目にしていない者にとっては、キャラクター同士の関係性がわからないため、多少の違和感はあるし、本来なら笑えるはずの部分で笑えないパターンもある。しかし、さすが万国共通の子供向け番組ということもあって、普遍的な笑いの要素は組み込まれている。尻で相手のおもちゃの刀を挟みこみ、そのままズリズリと動かすくだりや、くだらないギャグの数々。美しい家族愛もかいま見え、子供向け映画として家族で見るにはうってつけの作品かもしれない。もちろん、多少下品な部分には目を瞑ればというのはある。

しっかりとした時代考証がなされており、子供向けだからといって侮ることはできない。未来を知り、今の国を守ったとしても、それは徒労に終わると嘆く殿様も、良い味をだしている。強烈なふけ顔だが、心優しくかっこいい井尻又兵衛。単純なアニメとして見ても、盗賊をあっさりと殺すのではなく、逃がして金を与えるなど、信じられないほどの美談を繰り広げている。はっきりいえばできすぎている。ここまでのキャラクターを登場させられると、否が応でも井尻又兵衛を応援したくなる。そして、それは結末へと続く感動に繋がることになる。

ちょっとした恋愛模様が、本作を中途半端なものにしている。現代と戦国時代の恋愛の違いを語りながら、かなわぬ愛に心を焦がす「おひめさま」。子供向けらしく、非常にわかりやすく、かつイメージしやすいようになっている。そのため、「おひめさま」よりも井尻又兵衛にばかり共感がもててしまう。しんのすけと井尻又兵衛の関係が、友達のようになっているのも、感動を引き起こす要因の一つなのかもしれない。本作に限って言えば、野原家はオマケにしかすぎない。しんのすけと井尻又兵衛のみに焦点が当てられているといっても過言ではないだろう。

子供向け作品だと、侮ってはいけない。



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