NECK  


 2011.2.26  映画原作として読むのは危険だ 【NECK】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

映画原作や舞台の原作も含まれる短編集。冒頭の作品は、いつもの作者の作品らしく、荒唐無稽だがテンポ良く読める。なんだかよくわからない世界観の中で繰り広げられる物語に、知らず知らずのうちにのめりこんでしまう。作者の作風が好きな人にはたまらないだろう。その他はシナリオ形式なのでちょっと趣が違う。山の中で三人の男が首だけだして埋められるという作品は、絵コンテがあるおかげでかなり情景を想像しやすく、恐怖感をあおっている。ただ、絵コンテに若干お笑い要素が含まれているので、マンガ風な印象を受けるかもしれない。映画原作である作品は、映画がヒットしなかったようにかなり整合性のない、今まで以上にぶっ飛んだ作品だ。冥王星Oが突然登場するあたり、ついていけない。

■ストーリー

首で分断された想像力が、お化けを作りだすんやで―幼少体験をもとにした「ネック理論」の真実。首から下を埋められた三人の、地獄の一日。山奥に潜む恐怖の首物語。首の長い女の子が巻き込まれた殺人事件…映画原案、舞台原作、そして書下ろしを含めた、4つの「ネック=首」の物語。

■感想
首をテーマにした作品集だが、すべてがホラーの要素を含んでいる。首の骨が多い女の子が主人公の物語は、阿修羅ガール風なイメージもあるが、やはりどこか異次元の印象が強い。突然首から現れた青いダウンジャケットの男や、ノジャージャという少し変わった男など、舞城作品初心者にはかなりついていくのが辛いだろう。特にノジャージャの意味不明な強さと、作中に登場するキャラの福井弁。それらがかもし出す雰囲気は、普通の小説ではないと思わせるのには十分すぎる。本作の他の短編と比べると、まだホラーよりミステリー色の方が強いのが特徴かもしれない。

山の中で埋められた三人の男の話は強烈だ。一番ホラー色は強い。場面展開は、ほぼないに等しい。気付いたら山の中で首だけ出して埋められており、怪しげな女が登場してくる。得体の知れない恐怖と、密室ではないが、身動きとれないということで擬似的な密室状態となる。そして、極限状態の三人が生きるためにどういった行動をとるのか。舞台の原作になったらしいが、低予算映画としても成功しそうな気がした。動きは少ないが、心理的な恐怖というのは相当強く感じるだろう。

映画NECKの原案となった作品は、かなりぶっ飛んでいる。舞城作品に慣れている人でも、ちょっと疑問に思うかもしれない。後半になり、いきなり冥王星Oが登場してくると、もう何がなんだかわからなくなる。この手の作品に、しっかりとした整合性を求めてはいけないのだろうが、気になってしまう。幸運にも冥王星Oの作品を読んでいたので、まだ対応できたが、まったく未読の人にとってはお手上げ状態となるかもしれない。ホラーの要素が強いが、作者のファンならば問題ないだろう。ファン以外がもし読むとなると、それなりに覚悟する必要がある。

映画原作として読むのは危険だ。




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