2012.10.17 大人への階段のぼる 【6TEEN】
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■ヒトコト感想
4TEENから2年。あの中学生たちが高校生となり、青春を謳歌している。やはり4TEENのころに感じた印象はそのまま継続している。都会的な印象と、なんだか楽しそうだということ。重松清が描く高校生の物語とはまったく違うが、ある側面を描いていることは間違いない。高校生にもなれば、女に激しく興味を示し、そして大人への階段をのぼっていく。ちょっとした事件やイベントが起こり、それに4人が対応していくという、なんとなくだが作者の代表作であるIWGPをソフトに高校生を主役として描いたようにすら思えてきた。実際の高校生の悩みや苦しみを描いているのではなく、うすっぺらな生活かもしれないが、大人がイメージする高校生というのを的確にとらえている気がした。
■ストーリー
あれから2年。テツロー、ナオト、ダイ、ジュンの四人は高校生になった。はじめてのセックス、二股の恋愛、同級生の死。なにが変わって、なにが変わらないのか。東京湾に浮かぶ月島で、ぼくらは笑い、怒り、悩みながら、永遠と未来の間をさまよい歩く。まだ少しだけ、憂鬱や退屈や不安よりも、早く走れると信じて――。『4TEEN』のその後、四人組が駆け抜ける16歳の青春。
■感想
4TEENでは、ディープな短編もあった。それに比べると、本作はかなりソフトだ。平凡なテツロー、進学校に通うジュン、お坊ちゃま高校へ通う早老症のナオト、そして、子持ちの女子高生と同棲し、働きながら定時制高校へ通うダイ。個性豊かであるが、テツローが主役ということで、全体的にソフトになる。高校生らしく、年上の女の人に憧れたり、誰が童貞を一番最初に捨てるかだとか、非常にわかるやすい男子高校生を描いたかと思えば、同級生の死に直面するという、非日常的な出来事もある。この落差が本作の売りなのかもしれない。
黒髪の美しい女子高生に翻弄される4人。女に熱をあげる高校生ならでわの出来事だが、小憎らしい相手である女子高生も、テツロー目線で描くと、なぜかそれほど憎たらしく感じない。IWGPのマコトと違うのは、テツローが、自分が平凡な高校生だということを認識し、平和に暮らそうという意識があるところだろう。突然、見ず知らずの女子からメールが来ても、慎重に差出人を推理する。はたまた、童貞を捨てるチャンスがありながら、石橋を叩いて渡るような慎重さを見せる。テツローは、そういった描写はないが、間違いなく草食系男子だろう。
金持ちも貧乏も、頭の良し悪しも関係なく、昔からの仲間はそのまま仲間としてつるむ。高校生ともなると、家庭の経済事情や、通う高校のレベルなどで友達関係は分かれる場合がある。そんなことを抜きにした関係というのが、読んでいて心地良い。大人になればなるほど、浮き彫りになるはっきりとした違いを、すべて帳消しにしてしまうような関係。本作を読む大人たちは、二度と取り戻せない時期を思い出しながら読むことだろう。本作とは似ても似つかない高校生活だったが、建前抜きにした友達関係というのは、やはり憧れてしまう。
これほど個性の違う4人が、親友でいられる物語というのは、読んでいて楽しくなる。
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