海猿 LIMIT OF LOVE


 2010.11.10  巨大フェリー沈没 【海猿 LIMIT OF LOVE】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
前作が潜水士になるためのトレーニングから始まり、一人前になる直前で終わっている。本作は立派に成長した仙崎が大型フェリー事故で活躍するという話なのだが…。冒頭、ちょっとしたやり取りのあと、すぐに事故が発生し仙崎が巻き込まれるのだが、それを最後まで引っ張るとは思わなかった。仙崎と吉岡以外に新たな登場人物がおり、それらの紹介や仙崎との関係性など一切説明されないまま、事故が発生する。てっきり、これは何かの前フリで、その後、別の大きな事故が発生し、それがメインとなるのかと思っていた。たいした説明がないまま、潜水士というよりも救助隊としてフェリーの中を動き回る仙崎たち。火事と浸水に挟まれ身動きできない状態からどうやって脱出するのか。ちょっとした脱出アクションとなっている。

■ストーリー

恋人の環菜との結婚に悩みを抱いている仙崎大輔。そんな折、鹿児島沖3キロで、乗員・乗客620名を乗せた大型フェリーが座礁。沈没まで4時間と言われる中、大輔は救助活動をするため、パニックとなった船の中へ。ところが爆発により、大輔はバディの吉岡、乗客らと船の中に閉じこめられ出口を絶たれる…。

■感想
座礁した大型フェリーが徐々に沈没へと向かっていく。どんなに巨大な船であろうとも沈没する恐怖というのは伝わってくる。さらには乗客のパニックと、災害を納めるべく組織された事故対策室での緊迫したやりとり。海猿シリーズということを抜きにしても、このあたりはすばらしいと感じた。ただこれを海猿シリーズとして考えると、個々のキャラクターの個性がはっきされ、困難な災害から乗客を救うというイメージでいたので、仙崎と吉岡以外のキャラクターがほとんど活きていなかったのは残念だ。キャラクター同士の関係性も少し薄く感じられた。

前作がキャラクター同士の繋がりと、青臭い訓練生の無鉄砲さがよくあらわれており、さらには感動もある良作だったが、本作はそこからただの事故救出映画となっている。災害救助を詳細に描いた作品としては面白いと思うが、一つの事故でほぼ2時間すべてを使うというのは予想外だった。仙崎と恋人のちょっとしたやりとりが最初にあったが、その他には何もない。あとはひたすらフェリーの中で脱出するために仙崎と吉岡が四苦八苦する姿ばかりだ。

沈むはずのないフェリーが沈没する。マスコミやわがままな乗客など、救助作業を妨げる要因は多数ある。最初は余裕を持っていた仙崎たちが追い詰められていく様は思わず見入ってしまう。絶体絶命のピンチと思われた中での救出劇。最後は潜水士らしく呼吸が苦しくなるような映像が続く。いかにも感動させようとするシーンが大量にあり、特に仙崎がプロポーズする場面では、わかっていても少ししらけてしまった。この場面でしっかりと感情移入し感動することができないということは、まだまだ物語にのめりこんでいなかったのだろう。やけに覚めた目で冷静に「皆に聞こえてるだろ」と思ってしまった。

シリーズとして前作の雰囲気とはまるっきり違うが、これはこれでありなのかもしれない。



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