海猿


 2010.10.26  海保志望は増えたのだろう 【海猿】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
潜水士を目指す海上保安官が悩み苦しみながら成長していく姿を描いた作品。安心して見ることができるというか、仲間との友情や対決、そして自分の命をかえりみず仲間を助けようとする熱い心。危機に陥ったとしても、決して諦めず最後まで仲間と共に生きて帰ろうとする執念。一般人にはなじみのない海上保安官がどのような危険にさらされる可能性があるのか。単純に潜水士といっても、ダイビングするのとはわけが違う。その危険性をしっかりと表現している。ちょっとした青春風味もあり、山あり谷あり、そして恋愛あり。物語を面白くする要素は詰まっている。ただ、最後まで訓練生として、大掛かりな事件事故に出会うわけではないので、スケールは自然と小さくなってしまう。

■ストーリー

すべての海上保安官の中でわずか1%の人間しか到達できない海難救助のエキスパート“潜水士”。海上保安官14名が死と隣合わせでもあるこの“潜水士”を目指して、50日間に及ぶ極限の訓練に挑んでいくことになるのだが、ある哀しい事故が起きて…。

■感想
海上保安官が潜水士になるためには辛く苦しい訓練をしなければならない。原作マンガは読んだことがあるが、そこは厳しい訓練やイジメがメインだったような気がする。本作も訓練の厳しさや、おちこぼれの存在などそれなりに原作を踏襲している。ただ、原作ほどドラマチックな感動はない。あっさりと事故で死んでしまう仲間。そこに悲しみはあるが、訓練の過酷さと仲間の大切さとはまったく別次元で、単に不注意というか、海上保安官がおぼれてしまうというのもどうなのかと思ってしまった。

一人の脱落者がでたあとは、激しい訓練と、危険な状況と恋愛が待っている。潜水士という職業が危険と隣り合わせだということと、どれだけ訓練をつんだとしても、駄目なときはダメなのだと思わせる強引な雰囲気。仲間(バディ)を捨てて、自分だけ生き残るべきだという論調を根底から覆そうとする男の執念というか、意地のようなものを感じてしまう。それにしても海保という職業にまったくなじみはないが、本作のおかげで広く一般人にも知れ渡ったのだろう。もしかしたら海保を志望をする人が、本作をきっかけに激増したりするのかもしれない。

シリーズとして続く本作。まだ訓練生の段階であった本作から比べると、スケールが大きく、激しい事故に対応するのだろう。本作は訓練生ならではの青臭い部分や、仲間の大切さ、そして潜水士になぜなりたいかということを植えつける意味でも良い作品だと思う。シリーズとしてまずは本作を見ないと始まらないだろう。水中で酸素が残り少なく、あとはひたすら助けがくるのを待つだけ。そんな息苦しさを、画面を通してしっかりと感じることができた。ということは、潜水士映画としてもすぐれているのだろう。

シリーズのスタートとして見逃すわけにはいかない作品だ。




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