2010.5.3 命を賭けたゲーム 【上と外4 神々と死者の迷宮 下】
■ヒトコト感想
謎の儀式に挑戦することになった錬。その儀式の奇妙さがマヤ文明と関係がある雰囲気の中、物語は進んでいく。千華子が人質にとられた状態となり、否が応でも儀式に参加しなければならない。ジャングルの奥深くに存在する暗闇の迷宮の中、ひっそりと息を潜めたジャガーから逃れつつも、黒曜石を壷に入れていく。サバイバルから一転、今回は命を賭けたゲームにのぞむ錬の物語となっている。どのようにして生き残るか。そして、どうやって千華子を助けだすのか。不思議な儀式の雰囲気にのまれながらも、錬があらゆることを考えながら四苦八苦する。頭の中には巨大な迷宮が思い浮かび、いつ襲ってくるかわからない凶暴なジャガーの恐怖から気持ちが休まることはない。
■ストーリー
千華子を人質にとられ、練はニコと名乗る少年から危険なマヤの儀式への参加を強要された。それは、少年たちがつねに背後に獰猛な獣の気配を感じながら、生き残りをかけて争う過酷なレースだった。刻一刻、過ぎてゆく時間。失意と恐怖の中で、練に残された制限時間はあとわずかしかない。脱落すれば千華子の命が…。もう後戻りできない第四巻。
■感想
錬と千華子はとりあえず餓死するという危険性は去った。そのかわり二人には別の危機がおとずれる。錬は命を賭けた儀式に参加させられ、千華子は迷宮へと迷いこむ。子供たちが困難な状況にある中で、親たちはあるターニングポイントにたどりつく。ここで、助けにきた人々と親たちが会うことで、今後無事に脱出するための準備は整っていくのだろう。親たちのパートはこれである程度終わったとして、そこからどうやって子供たちに出会うのか。マヤ文明が何か関係するのか。それとも、一箇所へと向かう人々と関係があるのか…。
物語はサバイバルから、生き残りをかけた頭脳戦の様相すらある。錬は儀式に参加せずに逃げだすことを考えるが、ニコはすべてを見通したように、答えを用意している。錬がどうやってこの危険な儀式を切り抜け、無事に生還するのか。また、その過程で登山の経験を活かした何かを行うのか、それとも現代人らしい仕掛けでも作るのだろうか。ある意味、化かしあいの雰囲気すらある儀式。他人と競うということがほとんど重要視されていないが、おそらく他人を犠牲にしなければ生き残れない儀式なのだろう。
儀式のリスクが大きければ大きいほど、物語の緊張感は増してくる。謎の子供たちの怪しさもそうだが、マヤ文明と一体どういった関わりがあるのか。多くの人々が一箇所に向かいつつあるというのも、儀式と関係があるのかもしれない。残り二巻でどのように終止符をつけるのか。錬の儀式からの切り抜け方と、千華子の脱出。そして、親子の出会いが今後の焦点となることは間違いない。日本に残った親類たちが何か大きな働きをする可能性もあるが、まったく予想がつかない展開だ。
アドベンチャーゲームからロールプレイングゲームへとシフトしたような感じだ。
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