ザ・フィースト


 2008.8.22  ただのホラーだ  【ザ・フィースト】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
この感じはどこかで見たことがある。閉ざされた店で外部から得体の知れない怪物が襲い掛かる。それを店の中にいる者たちで相談し、協力して危機を乗り越えようとする。これってそのまんまミストだ。しかも、ミストとは程遠い、ただのスプラッターホラーに成り下がっている。何か正体不明なものに襲われているという恐怖感はどちらも大差ない。ただ、店の中にいる人々の個性の違いと、どのような行動をとるのか、そして、生き残るために他者を犠牲にしようとする精神へと至るきっかけ。すべてが劣化ミストとなっている。最初のキャラクター紹介の部分ではちょっとオシャレで現代風な作品かと思ったが、結局はただのホラーだったということも落胆が大きかった原因の一つだろう。

■ストーリー

テキサスの荒野にあるうらぶれたバー。常連たちがクダを巻いている中に、突然ショットガンを抱えた血まみれの男がやって来た。「何者かがやってくる! 早くバーを封鎖しろ!」と叫ぶ男。しかし客たちはあっけにとられるばかり。すると窓の外から伸びてきた“何か”が、刹那の内に男の身体をバラバラに引き裂いた。続いてバーに男の妻が駆け込んでくる。彼女の指示で客たちはバーの封鎖を実行するが……。

■感想
何者かがやってくる!得体の知れないモノから襲われる恐怖というのはよくあらわれている。しかし、結局はただの怪物というだけであり、ミステリアスな部分でいってもミストには到底及ばない。閉じ込められた、ある意味密室状態でありながら、どうやってそこから脱却するのか、そこが本作の面白さの見せどころのはずが、終始ありきたりでつまらない展開におさまっている。中にいる者たちどうしの協力や葛藤らしきものもあるのだが、深刻さはない。次々と主要キャラが死んでいくあたりでも、興ざめする部分なのかもしれない。

ミストが一般人も多数存在する、どこか日常の一場面を切り取ったのと比べ、本作はバーの中という明らかに異質な者たちが集まる場所というのも、物語としてはやりやすいのかもしれないが、面白さは半減してしまう。ハプニング的様相が少ないのもそのせいだろうか。迫りくる怪物をジョットガンで撃ちまくり、鬱憤をはらすべく銃を乱射する場面であっても、普通ならば爽快感抜群のはずが、どうにも中途半端というか、煮え切らない感想を持ってしまった。

ただ本作の救いとしては、ここ最近のとんでも映画的チープな雰囲気はないということだ。しっかりとグロテスクな場面を描いているので、生粋のホラー好きには受けるかもしれない。血がドバドバと噴出したり、目を背けたくなるような場面があるわけではないが、ホラーとしての基本を抑えているので、見ていて違和感は感じない。ただ、自分の中では最初に比較対象作品としてミストを思い浮かべてしまっただけに、何かにつけて比較してしまった。その結果、どうしても本作の粗ばかりが目に付いたような形となった。

冒頭のキャラクター紹介の雰囲気はすごくよかったので、できることならあのままの雰囲気で進んでほしかった。



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