転々


 2010.9.30  時効警察が好きな人向き 【転々】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
時効警察が好きだった人は楽しめるかもしれないが、それ以外の人にとっては…。独特なゆるい雰囲気と、目的がはっきりしないまま続く物語。時効警察で登場した俳優たちが、本作でも奇妙な面白さをかもし出している。さらにはオマケとして時効警察の三日月まで登場する。時効警察好きにしたらかなりうれしい演出だ。ただ、物語としては退屈なのは否めない。くだらないギャグや、よくわからないがしんみりとした雰囲気をだし、泣かせようとしたかと思うと、そのままサラリと終わる。見知らぬ二人が井の頭公園から霞ヶ関まで歩く。単純な散歩物語ではなく、家族ごっこにまで発展している。キャラクターも面白いが、全体的に大笑いできるのではなく、ニヤリとする程度だ。それがまた良いのかもしれないが…。

■ストーリー

井の頭公園をぶらぶらと出発、目的地はぼちぼちと霞ヶ関。到着期限はナシ―。見知らぬ二人の東京散歩の旅は、借金取り福原のとんちんかんな提案から始まった。散歩の合間に出会うとんちんかんな人々と悲喜こもごもなハプニング。そんな東京ワンダーランドで二人が向かうのは・・・。

■感想
借金取りの福原と散歩することになった男。福原の目的のわからないフラフラとした行動と、親子愛がテーマとなっているように思わせる流れ。オチとしては、実は福原は男の父親だった、なんてことになるのではと思ったが、何もなく終わっている。淡々と続く会話や、めちゃくちゃな理論もまかりとおる。どこまでいっても、この独特な雰囲気は変わることなく、最後まで貫き通している。借金取りと無理矢理散歩させられていた前半から、後半はへんに感情移入してしまった。突然発生した擬似の暖かな家庭の影響だろうか。

くだらないギャグは時効警察ゆずりだろう。主演のオダギリジョーはとぼけた役が似合う。それでいておかしな部分には的確に突っ込んでいる。福原の奥さんが勤めていたスーパーの同僚たちは、時効警察の課長など、いつものメンバーだ。また、この三人が本編にはまったく影響のないところで、くだらない会話を繰り広げている。つむじが臭いというのも変に笑えてしまった。もしかしたら、原作ファンであったり、真っ当な人間ドラマを求めていた人には不満だらけかもしれない。

この監督は常に独特の雰囲気をかもし出している。嫌いではないが、わかっていないと辛い。最初からこの雰囲気を理解しながら、小ネタにニヤニヤ笑うくらいでないと楽しめない。後半は変にお涙ちょうだい物語になりかけたが、そこはバッサリと切り捨てている。結局は、借金取りと男の二人がダラダラと会話をしながら散歩していたというだけだ。動物園や遊園地など、親子関係を連想させる描写はあるが、特に突っ込んだ説明はない。このゆるさと、さっぱりとした演出は好みがわかれることだろう。

どこかで見たことがあると思ったら、亀は意外と速く泳ぐもこの監督だったのか。



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