亀は意外と速く泳ぐ


2006.7.3 軽快な言葉のキャッチボール 【亀は意外と速く泳ぐ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
どこかで見たことある雰囲気だと思ったら。時効警察だった。出ている俳優が似ているということだけかと思ったら、監督も同じだった。このなんともいえない気が抜けたような不条理ギャグと言っていいのか・・・。声を出して笑うというのではないのだが、ニヤリとしてしまう。物語が多少シリアス調になっているのも大真面目にギャグをやっているような感じにさせる。ホンワカした雰囲気を味わいながら軽妙な言葉のキャッチボールを見ていると時間を忘れて楽しめた。

■ストーリー

学生時代から平凡な女の子だった片倉スズメは、結婚しても平凡な専業主婦だった。幼馴染のクジャクはエキセントリックな変わり者で、いつもスズメは振り回されていたが、それでも怒ることもなく、なんとなーくいまでも友達だ。ところがある日、スパイ募集の広告を見て、思わず電話をかけてしまう。夫が海外赴任中でいないのをいいことに、スズメはスパイになることに。

■感想
ある平凡な主婦がスパイに。ここだけ読むと激しいスパイアクションかと思うのだが、中身はまったく正反対。平凡な主婦は平凡な主婦のままスパイ業?のようなことをこなすのだ。スパイ業もいったい何に対してどんなスパイ活動をしているのかそのバックグラウンドはまったく明かされないのだが、どこにでもいる平凡な主婦(そうは見えないが)がスパイをやるという不条理さに面白さを見出しているようだ。

登場人物達もみな
それぞれ一癖も二癖もあり、時効警察でもポイントとなっていた軽快な言葉のやりとりが、ここでも存分にはっきされている。俳優達の力もあるのだろうが、監督と脚本の力でこれほどのテンポと勢いがだせているのだろう。どう考えても不自然でおかしいのだが、それを感じさせない雰囲気と物語にアクセントをつけるように登場する幼なじみのクジャクは不条理の極みかもしれない。

物語は平凡な主婦がスパイになりきろうと奮闘するところから始まるのだが、気持ちは分かるが見た目がホンワカ系なのでどうしても気が抜けているようにしか見えない。スパイ独特のピリピリとした雰囲気がない。それが逆にスパイ向きだと作中では言われていたがメリハリがないにも程があるように感じた。

主演の上野樹里の雰囲気でだいぶ作品の質が変ってくるような気もするが、これはこれでマッチしていると思えてくるから不思議だ。恐らく今後この監督が作品を作るとすぐに分かってしまいそうな気がする。それほど独特な個性のある作品だ。



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