天狗風-霊験お初捕物控2 宮部みゆき


2009.7.28  謎のもののけとの戦い 【天狗風-霊験お初捕物控2】

                     
■ヒトコト感想
前作ともども、またまたお初が奇妙な事件に遭遇する。前作を読んでいるだけに、不思議なことがテーマとなっているのはわかっていた。となると、発生する事件に対して、特別な先入観をもたずに、ただ純粋に不思議なこととして読むことができた。呪いや怨念が事件を起こしていると思わせときながら、実はまったく関係なかったり。そんなオチを期待していたのが前作。そうではないとわかると、気にせず読める変わりにワクワク感は減ってくる。オチは不思議なこととして終わるのだろうという予想ができるだけに、どうなるのか?という疑問はわいてこない。ある程度予測できる展開のために、はずれはないが、驚きもない。この手の作品が好きな人にはお勧めだ。

■ストーリー

一陣の風が吹いたとき、嫁入り前の娘が次々と神隠しに―。不思議な力をもつお初は、算学の道場に通う右京之介とともに、忽然と姿を消した娘たちの行方を追うことになった。ところが闇に響く謎の声や観音様の姿を借りたもののけに翻弄され、調べは難航する

■感想
不思議な力をもつお初。見えないものが見えたり、聞こえない声が聞こえたり。お初が見るものは事件に大きなかかわりがある。すでにお初の能力と、その周辺で起きる奇妙な出来事は前作で学習済みなだけに、読んでいて、この先どうなるのかというドキドキ感はない。前作は、お初が見たり聞いたりしたことは、すべて不思議なことではなく、現実に起こっていることという結末を予想していた。そのため、どういったトリックなのかという興味があった。本作は第二段ということで、そのあたりの興味はわいてこなかった。

謎の天狗風、神隠しにあう娘たち。そして、奇妙な観音様。これら様々な出来事にどういったつながりがあるのか。綿密な繋がりがあり、因縁があるのかと思いきや、特別な説明はなされていない。神隠しにあった娘たちはどうなるはずだったのか。観音様に見えたのは何故なのか。天狗と言われた由来は?そして言葉を話す猫たちとの繋がりは?気になる部分は多数あった。しかし、物語が解決していくと、それらはまったくなかったことのようにされている。

闇にたたずむ謎のもののけとの戦い。てっきり、もののけの元凶を見つけ出し、大元からしっかりと解決していくのかと思いきや、秘密の道具を使い、解決する。そのシーンがまるでゲームのように、最後のボスと対決している風に見えた。強大な敵に対して、仲間と共に特殊道具をつかって封じ込めようとする。これでは、そのまんまアニメやゲームの世界だ。そこだけ突然江戸から現代にタイムスリップしたようにすら感じてしまった。悪くはないのだが、無理矢理盛り上げようとしている気がした。

かなり長大で読み応えはある。この手の作品が好きな人にはお勧めだ。



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