2010.4.19 インドのみのもんたは渋い 【スラムドック$ミリオネア】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
まず最初に思ったのは、ミリオネアは日本もインドもほぼ同じなのかということだ。あの、独特な音楽と雰囲気。司会者がみのもんたでないだけで、それ以外はほとんど同じだ。アカデミー賞をとった本作。何か特殊な仕掛けでもあるのかと思ったが、意外なほどシンプルだ。ミリオネアの問題を次々と答えていくジャマール。スラム街で育ったジャマールがなぜすらすらと問題に答えることができたのか。ミステリー的なトリックがあるものと期待していたが、そうではなかった。感覚的にはツォツィのように、スラムで生活していた子供がどのように変わっていくか。その激しい生活を映しだしている作品のように思えた。ミリオネアはただのオマケにすぎない。
■ストーリー
運じゃなく、運命だった。アジア最大のスラム街・ムンバイで育った少年ジャマールは、世界的人気番組「クイズ$ミリオネア」にて一問を残して全問正解、一夜にして億万長者のチャンスを掴む。だが、無学な彼は不正の疑いをかけられ、番組の差し金で警察に連行され、尋問を受けることになってしまう。彼は一体どうやって全ての答えを知りえたのか?そして、彼がミリオネアに挑戦した本当の理由とは―?
■感想
細かく考えると納得いかないことが多々ある。最後の問題でジャマールが答えることができたのは何故か?兄がジャマールの姿をテレビで見て、ラティカを逃がそうとしたのは何故か?それらをいちいち考えていると面白さを味わう間もなく終わってしまう。本作は、スラムでの厳しい生存競争のなか生き残ったジャマールが、どのようにしてミリオネアにでるまでに至ったのか。激しい生き残りをかけた生活で、ジャマールの周辺には様々な出来事が起こる。近代都市と思われたムンバイであっても、南アフリカのスラムと変わらない現実がそこにはある。
ミリオネアの問題に答えることができたのは、スラム街での生活があったからなのだろう。特殊な状況下でありながら、偶然ミリオネアの問題に関する出来事に遭遇する。インドで子供の物乞いが多い理由や、たくさん稼ぐために、子供たちが強いられる厳しい現実など、目を背けたくなる描写もある。しかし、それが現実で、運よく逃れることができたジャマールには、ミリオネアに答えて億万長者になる運命にあったのだろう。見終わってから特別すぐれた作品だと感じることはない。ただ、淡々と話すジャマールには、すべてを超越した力があるように思えて仕方がなかった。
ミリオネアが日本とまったく同じということに一番驚いた。音楽まで一緒だ。そして、日本以上にミリオネアに対する激しい熱があり、貧富の差が激しい国だからこそ一つの希望にすがりたいという強い思いがある。スラムの生活から抜け出すには、ジャマールの兄のようにギャングとなるか、一生物乞いとして生活するか、ジャマールのように真っ当な生活からミリオネアに挑戦するか。ミリオネアの問題に正解する必然性はほとんど感じない。そのため、都合の良いように感じてしまうかもしれない。
インドのスラムでの衝撃的な生存競争は強く心に残っている。
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