パコと魔法の絵本


 2010.4.14  半分CGアニメ 【パコと魔法の絵本】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
嫌われ松子の一生」は目新しくて面白かった。特にその不幸な生い立ちと明るくファンタジーなCGのミスマッチはよかった。本作もその路線かと思いきや、CGがあまりにもゴテゴテしすぎて全般的にCGばかりが目に付いてしまう。メインのストーリーもそれなりにしっかりしているはずだが、脇役たちのよくわからないギャグっぽい雰囲気や、時折挿入されるアニメ風のキャラクターたち。本作が子供をターゲットにしているのであれば何も問題はないが、子供向けにしてはストーリーや小ネタが難解すぎる。かといって大人が楽しむには、広い心をもってCGアニメを許さなければならない。ちょっと変わった人たちが入院する病院で引き起こされたある出来事。それぞれのキャラクターは面白いが、あまりにCGを多用しすぎているように感じられた。

■ストーリー

舞台はちょっと変わった人たちが集まっている、とある病院。中でもわがまま放題のクソジジイ・大貫は病院中の嫌われ者。そんな大貫がある日パコという名の女の子と出会う。パコは同じ絵本を毎日楽しそうに読んでる女の子。ところが、大貫はそんな天使のような女の子まで自分の勘違いでぶってしまう。でも、翌日になるとパコはケロっとした顔でまた大貫に近づいていく。実はパコは記憶が1日しかもたない女の子だった。だから、大貫にぶたれたことも忘れてた。それを知った大貫はさすがに反省し、パコに誤ろうとそのほっぺに触れた時、驚くべきことが起こる。

■感想
もしかしたら本作はキャスティングありきの作品かもしれない。特にパコ役の子を売り出すための作品のように感じられた。魔法の絵本の世界をCG全開で表現する。そこには強烈なキャラクターたちが、縦横無尽にあばれまわっている。病院に入院している患者や看護婦たちは、それぞれ何かしら悩みを抱えている。しかし、本作はその悩みを解決するのではなく、最後に壮大な演劇を行い、自己満足している。怪しい病院の理由や、現実的な問題に対しては一切答えられていない。あるのは、激しくカラフルなCG世界のみだ。特にはっきりとした美しい青空と白い雲は常に目に付いてしまう。

全体的にカラフルで、特に原色を好んで使っている。そのため、徹底的に現実感がない。なんだかチャーリーとチョコレート工場のように、この病院内だけは不思議な空間になっている。そこに登場するさまざまなキャラクターたち。個性豊かで面白さはある。思わず笑ってしまうセリフもある。ただ、それがシリアスな雰囲気の中繰り出されるのではなく、すでに下地としてギャグの雰囲気が出来上がっている。常にCGに囲まれた世界のため、ただの病院というイメージはない。そのため、特殊なキャラや病院も当たり前のように受け入れてしまう。

出演者たちは完成した作品を見てどう思ったのだろうか。本作を大人メインとして考えるにはあまりにつらい。かといって、子供向けというには話しもそうだが、ギャグも難しすぎる。どっちつかずの作品となっている。CGで描かれた美しい世界はファンタジー感を十分に出せていると思うが、それらは最初のうちに慣れてしまう。後半になるとCGキャラクターが一人歩きし、いつのまにか俳優たちよりもCGキャラクターの方がメインとなっているような気さえしてきた。全編の三分の一はCGアニメといってもいいだろう。

この手の作品が受けるのは最初だけかもしれない。おそらく、二回目はないだろう。



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