日本沈没


 2010.11.27  まともなのは科学者だけ 【日本沈没】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
過去の作品のリメイクのようだが、過去の作品をまったく知らないので、新鮮な気持ちで見ることができた。日本が沈没するという恐怖とパニックはものすごく良く出ていると思うが、ただその他大勢の人たちがガヤガヤと騒いでいるだけにしか思えなかった。そこに人間ドラマがほとんど感じられず、感情移入ができなかった。政治家たちは自分たち家族が生き残ることだけを考えていたり、何も知らない一般市民が真っ先に犠牲になるなど、理不尽な世の中を如実にあらわしているのは良いが、都合の良いヒーローモノに仕立て上げられているようで、どうにも納得できなかった。ラストの場面は多少の感動はあるが、もっと等身大の感動がほしかった。

■ストーリー

潜水艇「わだつみ6500」のパイロットの小野寺は、同僚の結城とともに、深海調査に乗り出していた。そこでふたりは驚愕の事実を発見する。このままいくと海底プレートの沈降で、日本列島が海に沈んでしまうことがわかったのだ。日本の危機が目前だと、ふたりを指揮していた地球科学博士の田所はほかの科学者や日本政府にSOSを出す。しかし、地殻変動は起き、火山は噴火、大地震が起こり、国民はパニックに陥る。

■感想
海底プレートの沈降によって日本列島が沈んでしまう。序盤の緊迫感はすばらしい。沈没まで一年もない、さらには総理が事故にあう。八方ふさがりの状態で日本はどうなってしまうのか。もし、現実に日本が沈没するとしたら、本作のように海外へ移住することになるのだろうか。そうなったときの混乱というのは、本作の比ではないだろう。混乱と暴動の中で、テレビでは毎日のように地震や災害のニュースがばかりが繰り返される。そんな状態でありながらも、普通に生活する人々がいる。なんだかこのあたりはものすごくリアルに感じてしまった。

まるでデイアフタートゥモローのように、あらゆる場所で災害により人が命を落としていく。そこに細かな人間ドラマはなく、ただその他大勢の人々が崖崩れの犠牲者となっているようにしか見えなかった。メインの小野寺関係のエピソードはしっかりと描かれてはいるが、ハイパーレスキューの女性隊員と恋に落ちるというのがものすごく違和感をもった。自己犠牲精神が強いのか、それともただの自己満足か。作られたヒーロー像を模倣しているようにも感じられた。唯一、意思を持った人物というのはただ一人、科学者の田所だけのような気がした。

そうはいっても、最後の場面は感動が押し寄せる。自分を犠牲にし、無事に帰ることは考えずただ日本を救うことだけを考える。その場面であっても、船の上で見守る田所の苦悩の表情や、小野寺を生かそうとする行動、そして、小野寺がもう戻ってこれないと早い段階でわかったときの悔しがり方。それらがあることによって、ラストの場面の感動は増幅されている。あっさりと日本が救われるというのは、もはや規定路線として、最後の演説にしても特別な感動はなかった。

ハリウッド的ヒーローモノを無理矢理日本的にやろうとしたから、こうなったという感じか。



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