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 2010.2.9  ロードレースの面白さ満載 【茄子スーツケースの渡り鳥】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
前作と同様にロードレースの面白さは十分に伝わってきた。一時間弱という短い時間であっても、レースに関しての内容は濃い。若干意味不明な部分や、短時間でキャラクターの関係性を説明しようとしたために、少し雑に感じる部分もあるが、十分楽しめる作品だ。今回は日本が舞台となり、「ジャパンカップ」でのレースが描かれている。レースの駆け引きはやはり面白い。ロードレースにまったく興味がない人であっても、レースの醍醐味を味わうことができるだろう。集団での位置取りやアタックを仕掛けるタイミングなど、未知の世界は非常に興味深かった。ジブリ作品のクオリティの高さをそのまま保ちつつ、こうやって新たなテーマに挑戦するのはすばらしいことだ。

■ストーリー

物語の主役は前回の主人公のぺぺと、同郷の先輩を自殺で失ってしまったチョッチ。ふたりはパオパオビールのレーサーにしてチームメイト。はたして、ふたりは「ジャパンカップ」でどんな未来を見つけるのか? 彼らはペダルに全体重をかけ、ひと漕ぎずつ前へと進んでいく。レースがゴールを終えたとしても、さらに次なる挑戦へ。

■感想
来期からチームが無くなることが決まったペペとチョッチ。二人が挑戦する「ジャパンカップ」ではどのようなレースが展開されるのか。ほぼキャラクター紹介はない。前作を見ていることが前提であり、それ以上に想像力を働かせなければならない。同郷の偉大な先輩を無くしたチョッチ。ロードレースに対する気持ちまでも揺さぶるような出来事だ。前作に比べ、精神的なものに重点をおいているのが本作かもしれない。日本を舞台にしたということもあり、仏教的な雰囲気も多少感じさせている。

ペペとチョッチとパオパオビールの面々がどのような計画でレースを進めるのか。実はこのあたりが一番の見所かもしれない。しっかりと役割分担し、そのとおりにレースをはこぶ。集団を引っ張る役目や、チャンスを待ち、最後にアタックを仕掛ける役目など。自転車のレースでありながら、個人ではなくチームで戦うというのが、なじみのない人にとっては新鮮な部分だろう。チームメイトのために犠牲となり、集団を引っ張る。抜け出せれば一気に勝つチャンスは増えるが、集団に飲み込まれるとそこでアウト。マラソンと同じように考えがちだが、マラソンよりも遥かに複雑な駆け引きがそこにはある。

前作もそうだが、本作でも結局何が言いたいのか良く分からない。レースの醍醐味は十分に味わえ、駆け引きの面白さもさすがだと思う。スピード感溢れるレースの模様もすばらしく、ロードレースをこれほどしっかりと描いたアニメは他にはないだろう。ただ、本作でちょくちょく挟まれている、ロードレースに関わる気持ちや、レースへの想いなど、結局何が言いたいのかよくわからなかった。見終わって漠然とした印象としては、ロードレースというのはものすごく疲れるレースなのだなぁと感じただけだった。

レースの面白さは、やはりすばらしいと思う。



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