ナインスゲート


 2009.7.8  判りにくいサスペンスホラー 【ナインスゲート】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
悪魔の本の真相を探ろうとするコルソ。はっきり言えば、よくわからない。様々な謎をちりばめ、さも不思議で悪魔的な雰囲気を漂わせつつ、何もかも煙に巻こうとする流れ。結局、本の謎とは何だったのか。そして、真実はどうなったのか。コルソが動き回るところに、何か事件が起こる。都合の良すぎる展開と、全体を流れる悪魔的雰囲気。テーマのチープ感が、物語の質を下げているような気がする。三冊の本の秘密を解くと、一体どのような真実が明らかになるのか。コルソを助ける謎の女といい、双子の収集家といい、最後まではっきりせずに物語が終わってしまったというような感じだ。結末に至るまでの雰囲気は、まるでダ・ヴィンチ・コードのようだったが、展開が適当すぎるように感じた。風呂敷を大きく広げすぎたのか、それとも勝手にそう解釈した観衆が悪いのだろうか。

■ストーリー

世界に3冊しかないという『影の王国への9つの扉』。この悪魔の祈祷本について、収集家から真贋の鑑定を依頼された本の探偵コルソは、ニューヨークからヨーロッパヘと旅立つ。書物の謎を解いていくコルソの前途には、人間の英知を超えた恐ろしい罠が待ちかまえていた。彼が最後にたどり着いた謎の真相とは…。

■感想
同じ内容と思われた三冊の本が、比較してみると、ちょっとした違いがある。その違いは、挿絵に描かれた塔の数であったり、扉が開いていたり閉じていたり。なにやら意味深な雰囲気をかもし出しつつも、結局その絵について細かな説明はなされていない。宗教的であったり、何か儀式的な意味合いがあれば、また物語りに深みが増してきたのだろうがそれがない。古書にいわくつきな挿絵。さも悪魔的何かが影響しているような事件。コルソが立ち寄る場所に次々と起こる不可解な出来事。それらは、悪魔がコルソを邪魔しているようにすら思わせる。

前半部分の、まだ物語の骨格が見えないあたりは興味深かった。しかし、少しずつ明らかになってくると、だんだんと面白さが半減していく。コルソをつけねらう謎の人物の正体が明らかになると、結局は本をめぐる醜い争いでしかないと気付いてしまう。コルソを助ける謎の女は、結局最後まで謎だった。なんとなくだが、正体を匂わす部分もある。しかし、トータルすると、結局何が言いたかったのか。本にはどういった謎があったのか。本の謎を解いたときに、一体どのような効果が現れるのか。全ては観衆が独自に想像するしかない。最初に登場した双子の収集家が何か大きな鍵を握っているようだが、それもわからなかった。

ジョニー・デップのとぼけたようで、しっかりと謎を解くキャラクターはよかった。しかし、まわりの不自然さと、とってつけたようなストーリーで面白さは激減している。悪魔的何かを匂わす部分はよかった。このまますすめば、コルソに何か大きな災いが降りかかるのではないかとも思えた。ホラー出身の監督らしく、ピンポイントの怖さはある。車椅子に乗った婦人が、壁に向かってぶつかりながら、なおも進もうとする場面など、鳥肌がたってくる。局所的な怖さはあるが、結局全体としての恐怖感はない。ミステリーとしても中途半端すぎるような気がした。

ホラーやミステリーとして、どちらでも中途半端だ。



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