機動戦士ガンダムUC 10 福井晴敏


2010.8.19  ついにラプラスの箱が開く 【機動戦士ガンダムUC 10】

                     
■ヒトコト感想
ついにクライマックスを迎えた本シリーズ。散々引っ張ってきた物語の肝と言うべき「ラプラスの箱」とはいったいどんなものなのか…。結論から言うと、予想外にしっかりとしたモノだった。連邦が血眼になって守ろうとした理由も納得でき、このシリーズの全体を通したテーマとも合っている。巨大な風呂敷を広げるだけ広げたあげく、ショボイ物の可能性もあっただけに安心した。おそらく最初からラプラスの箱はこういう物だという、しっかりとした方針があったのだろう。フルフロンタルの正体までしっかりと描ききった本作は、ラストもしっかりとガンダムシリーズらしい終わり方をしている。そのうち映像化されるだろうが、ラストの盛り上がりの映像が、頭の中に浮かんできた。

■ストーリー

壮大な新ガンダム神話がついに終焉を迎える。『ラプラスの箱』の謎を解き明かす最終座標<インダストリアル7>のコロニービルダーを舞台に、壮絶なる最終決戦が始まる。

■感想
コロニービルダーに終結し、クライマックスを迎える本シリーズ。前巻でだいたいの決着がつき、あとはボロボロのシナンジュとの戦いが待っているだけかと思っていた。物語としてはもうひと盛り上がりが必要なのだろう。ファーストガンダムで言うところのシャアとアムロの肉弾戦のようなものが本作でも描かれている。とことんファーストガンダムを意識した作りとなってはいるが、ラストだけは最近のガンダムシリーズらしく、壮大な精神世界へと読者をいざなっている。このオチはニュータイムの未来ということをアピールしているのだろうか。

シリーズの肝である「ラプラスの箱」、その謎がついに明らかにされる。箱の中身は予想しなかったものだが、納得できた。この内容ならば、連邦が血眼になり、その他大勢の人々が必死になるのもわからなくもない。ラプラスの箱の内容が本シリーズのテーマにしっかりと合致しているので、不自然さもなければ強引さもない。自然にラストまで流れていったような感じだ。ガンダムシリーズすべてに共通するニュータイプとはいったい何なのか。その答えが本作にあるとは思えないが、ニュータイプの未来が示されたような気がした。

シャアの再来と言われたフルフロンタル。その正体が明らかとなる。この部分はそのままシャアが生き残っていたとならないところはよかったが…。まぁ、ガンダムといったらこの手のキャラを出さないわけにはいかないので、苦肉の策なのだろう。ラストの激しい戦いでボロボロになるシナンジュ。そして、グリプス2の攻撃。結局リディとトライスターが最後の最後でおいしいところをかっさらっていったような感じもするが、準主役級が最後に脚光を浴びるのも、ガンダムシリーズらしいといえばらしい。

最後に物悲しい気分になるのはガンダムシリーズらしい。




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