意味がなければスイングはない 村上春樹


2009.7.19  音楽的知識必須 【意味がなければスイングはない】

                     
■ヒトコト感想
村上春樹がおくる音楽の話。はっきりいえば、ジャズやクラシックなど音楽に興味があり、それなりの知識がないとまったく楽しめない。興味がない人が本作を読むこと自体間違っているのだが、内容がまったく頭の中に入ってこなかった。ジャズだのシューベルトだの、ブルース・スプリングスティーンなど多少聞いたことがある名前がでてきたところで、興味がわいてくるはずもなく、ただ、文章をだらだらと追っていくような感じかもしれない。かろうじて、スガシカオだけその曲を聴いたことがあったので、楽しく読めたが、それであっても特別な印象はない。音楽好きであり、なおかつそれなりの知識がなければつらい

■ストーリー

待望の、著者初の本格的音楽エッセイ。シューベルトのピアノ・ソナタからジャズの巨星スタン・ゲッツの“闇の二年間”、ブルース・スプリングスティーン、Jポップのスガシカオまで、すべての音楽シーンから選りすぐった十一人の名曲がじっくりと、磨き抜かれた達意の文章で、しかもあふれるばかりの愛情をもって語り尽くされる。

■感想
タイトルにどういった意味があるのか。ジャズにかけられているのだろうか。本作に登場する人物たちはほぼ8割知らない。残りの2割は聞いたことがある程度か、スガシカオだけ曲を聴いたことがあるという程度だ。そんな状態で本作を読むとどうなるのか。つらつらと並べられる、なじみのない人物たちの名前。それらが誰にどのような影響を与えたとか、現在の音楽にどれほど大きな影響を与えたなどが描かれている。しかし、元々音楽的知識がほとんどない者にとっては、辛い以外のなにものでもない。

作者の文章で音楽シーンを表現しているようだが、それも理解の妨げになったような気がした。原曲を知らない者が特殊な比喩表現をされたところで、その良さを感じることはできない。作者の好みの音楽ばかりなので、当然ほめることがベースとなっている。ただ、手放しにほめるのではなく、この作品は良いがこの作品は”いささか”やりすぎのような気がする、などと書かれている。頭の中にどれだけイメージできるのか。曲を頭に思い描くのは難しい。それは音楽になじみがなければなおさらそうだろう。

本作をジャズや音楽に興味がない人は読んではいけない。もし、読んでしまうと、ただ文章の文字、ひとつひとつを追いかけているだけのような感覚に陥ってしまう。物語であれば、多少受け入れることはできるが、単純な音楽エッセイだとなかなかそうもいかない。決定的に少ない音楽的知識では、作者の言葉に追いつくことはできなかった。学校の授業で、わからない科目をひたすら教師が教壇でしゃべっているという、そんな感覚かもしれない。

音楽に興味がある人は読んでもいいかもしれない。



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