北極のナヌー


 2010.9.4  フワフワな白い小熊 【北極のナヌー】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
小熊は可愛らしい。セイウチに比べると明らかにその可愛さはずば抜けている。白熊のナヌーとセイウチのシーラ。この二匹を無理矢理ドラマ仕立てにした世界が描かれている。さらには、結論として温暖化社会に警告を鳴らすような終わり方となっている。ナヌーの可愛らしさが続くのは前半まで。後半からはナヌーとシーラがどうやって生きていくのか。そして、温暖化の影響で氷が溶け、その結果ナヌーとシーラがどうなっていくのかが描かれている。アースと違い、物語仕立てにされているので、否が応でも感情移入してしまう。ただ、ありきたりな流れというのは否めない。野生の王国のスペシャル版のような感じだろうか。

■ストーリー

白熊“ナヌー”と、セイウチ“シーラ”を中心に、温暖化の進む北極で幾多の困難を乗り越えながら懸命に生き抜く動物たちをドラマ仕立てで捉える。

■感想
アースやディープブルーなど、地球の生態を追いかけたドキュメンタリー系はよく見る。本作はどちらかといえば皇帝ペンギンに近いのかもしれない。ある動物を追いかけて、そこに物語を構築する。強引なナレーションとカットの切り張りによって、さもそう思っているかのように、動物たちの表情を映し出す。巧みなカット割りで危機を演出し、物語を作り出す。強烈なインパクトがあるのは、自然の厳しさが表現されている部分だ。今回でいうとナヌーの弟が、厳しい自然に負け、崩れ落ちていく姿かもしれない。

本作はナヌーという小熊の可愛らしさである程度の客は呼べるだろう。愛らしくクリクリとした目。まるでぬいぐるみのようにふわふわとした白い毛。ずんぐりとした体型でお母さん熊を追いかける姿。小さいころはどんな動物も可愛らしいが、白熊の子供は特に可愛いかもしれない。真っ白な銀世界の中で、ひときわ輝く白い小熊。もし、目の前にナヌーがいたら、絶対に抱き上げてそのフワフワとした毛に顔をうずめてみたいと思うだろう。

物語的にはナヌーにばかり目がいってしまいがちだが、シーラもナヌーに負けずその存在を主張している。ただどうしてもビジュアル的な部分で、ナヌーには敵わない。ナヌーが大きくなり普通の白熊と変わらない大きさになってはじめて同じ目線で見ることができた。キャラクターの可愛らしさだけで観衆を釘付けにできるのは前半まで、後半は必要以上に地球温暖化を批判し、氷が溶け、ナヌーもシーラも生きることができないという流れになっている。後半の説教臭さが、物語をがらりと変えている。

ナヌーの可愛らしさに引きずられるべきではない。



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