2010.8.21 原作とは違った魅力 【ハゲタカ】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
原作のキャラクターを用いて、まったく新しい現代の問題を扱ったハゲタカとなっている。中国の躍進と派遣問題、おそらくクランクアップ直前に詰め込んだと思われるサブプライム問題。ハゲタカとして新しい要素を取り入れているのは評価できるが、結局は劉と鷲津のTOB争いがメインとなっている。大手自動車メーカーの買収合戦。原作にはない流れの中で、巨大な資金を持つ相手に対して鷲津がとった行動は、なんだかとってつけたようなものだった。ハゲタカ的な面白さは表現されているが、まるで最初からサブプライム問題をわかっていたような鷲津の行動には違和感をおぼえた。ラストも余韻を残すために、いろいろな仕掛けをしているようだが…。出演者が豪華だったのでそれなりに見る価値はある。
■ストーリー
“ハゲタカ”の異名を持つ天才ファンドマネージャー・鷲津政彦と、“赤いハゲタカ”を名乗る中国系ファンドの使者・劉一華の大手自動車メーカーをめぐる買収戦争の行方を描く。
■感想
やはり原作の面白さをすべて詰め込むには2時間は短かすぎるのだろう。結局映像としてメリハリをつけるために、派手な演出としてTOB合戦を描くしかない。大手自動車メーカー買収ということで、日本自体が中国にのっとられるような演出をし、激しい攻防を描く。劉のカリスマ性が人々を引き付けるというのは良い演出かもしれないが、ハゲタカとして、原作にあるような説得力が足りない気がしてならなかった。劉が語った再建策はすべて真実だったというオチなのだろうが、親玉たちはそれに納得していたのだろうか。
鷲津の仲間たちがあっさりと劉の秘密を探り当て、アラブの王様から資金を援助される。ご都合主義的な部分が目立つ。ファンドマネージャとしてのTOB争いの面白さを前面に押し出すために、もしかしたらTOB価格の吊り上げ合戦を予定していたのかもしれない。それが現実にサブプライムローン問題が発生したため、急遽それを材料として使ったような気がした。どうも、それまでのテンションから一瞬気が抜けたような間を感じてしまった。
派遣問題などと絡めながら、新しいハゲタカを表現している。結局、おいしい思いをするのはファンドだけ。調子の良いことばかり口にするが、最後は利益だけ取って逃げ出す。原作を読んでいたときから感じていた、買収後の企業再建の形がやはり見えなかった。劉にしろ、鷲津にしろ、買収に成功したとしたら、その後マジメに企業を再建するつもりがあるようには思えなかった。劉の場合はそのあたりを真剣にやるという思いを表現するため、残留孤児をキーワードにしていたのだろうが…。
ハゲタカ的キャラクターで、新しいものを交えて描いた作品だ。
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