ALWAYS 三丁目の夕日


2006.8.2 知らないはずなのに懐かしい 【ALWAYS 三丁目の夕日】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
昭和初期。その時代に生まれているはずはないのに、なぜか無性に懐かしく感じてしまった。白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機の三種の神器に駄菓子屋での当たらないクジ。自分が経験したことはなくとも刷り込み効果なのだろうか、昭和初期イコール懐かしいというイメージが頭に残っている。本作を見て懐かしいと思う年代は、その時代を生きていなくてもある程度の年齢ならば感じるかもしれない。さすがに今の小学生が本作をみてそう感じることはないと思うが、それでもその時代独特の雰囲気は十分に感じることはできるだろう。

■ストーリー

携帯もパソコンもTVもなかったのにどうしてあんなに楽しかったのだろう…。昭和33年、東京タワーが完成するこの年、東京下町の夕日町三丁目には、人情味あふれる住民たちがにぎやかに暮らしていた。そんなある日のこと、鈴木則文(堤 真一)と妻・トモエ(薬師丸ひろ子)、息子・一平が暮らす自動車修理工場・鈴木オートに、集団就職で上京した六子(堀北真希)がやってきた。ところが、立派な会社を期待していたらしい六子はどこか、がっかりした様子……。

■感想
昔の家族ドラマのようなセット。絶対にこの時代やこんな家に住んだことがないはずなのに心の奥底では懐かしさで一杯になる。本来ならのんびりしているはずなのに、人がにぎやかにガヤガヤと動き回ったり、バイクや車が行きかうさまは高度経済成長期を感じさせる雰囲気だ。そんな昭和初期の雰囲気にあっさりと溶け込んでいる俳優達の演技もすばらしく、どこからどう見てもその時代に生きている人々にしか見えなかった。

いくつかの事件や出来事が錯綜し、それぞれがほのぼのとしながらも全てがハッピーエンドというわけではない。その時代独特の問題やイベント。特に白黒テレビが家に来るにあたって、まるでお祭りがあるかのごとく町内の人々が集まってくる。今の時代、
これほどのテンションで何かを楽しみにするということがあるだろうか。本作を見ると、今とは比べ物にならないほど地味な生活のはずなのに、楽しみはずいぶんと沢山あるような、そんな気がしてきた。

田舎から出てきた六子。本来ならとても現代的な顔をしている女優のはずなのに、東北訛りの方言と服装だけですぐにその時代の女の子になるのは素晴らしいと思った。六子もそうだが、出てくる登場人物達は、精一杯生活している。おそらくこの時代には引きこもりも、ニートもいないのだろう。生きることだけが精一杯だった時代から抜け出し、今から生活を楽しみ、あこがれの三種の神器を手に入れるために一生懸命働く。そんな雰囲気を感じた。

おそらく20代中盤以降の人達はかならず懐かしさを感じるだろう。それ以前の人も昭和初期の雰囲気を感じその時代を楽しむことができるだろう。



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