アンドリューNDR114


 2009.6.28  ロボットはロボットらしい方が良い 【アンドリューNDR114】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ロボットが感情を持ち、人間になろうとする。ターミネーターやマトリックスとは違うベクトルの作品。前半でのアンドリューの表情は秀逸だ。とぼけたような半笑いの表情。眉毛だけで表情を表現しているギクシャクした動き。それでいて馬鹿丁寧な言葉遣い。すべてに好感がもてる。家族との関係や、自由になりたいというくだり。父親が亡くなるまでは、まさに理想的なロボット映画となっていた。父親との別れの場面は涙なしでは見られない。それが一転、自由となり人間の見た目を手に入れてからはテンションが下がった。ただ、淡々と物語りは流れていき、アンドリューは人間へと近づいていく。ラストの場面では決して泣くようなことはない。あのロボットらしい無機質な表情であれば、もしかしたらホロリとなっていたかもしれない。

■ストーリー

そう遠くない未来のある日。郊外に住むマーティン家に届いた荷物は,父親のリチャードが家族のために購入した家事全般ロボット“NDR114”だった。最新鋭の機能を持ちながらも,礼儀正しく,どこかアナログ感も漂わせるこのロボットは“アンドリュー”と名付けられた。アンドリューの主な仕事は,彼が“リトル・ミス”と呼ぶ末娘の子守り。その仕事を通して,いつしか機械が持つはずのない個性ー感受性や創造性を見せるようになっていく…。

■感想
父親であるリチャードが家族のために買ってきたロボット、アンドリュー。とぼけた表情で、ロボットとして当たり前の行動をする。そんなアンドリューがいつしか特別な行動をし始める…。ロボットらしいロボットの外見のアンドリューはとても良い。誰が見ても一目でアンドリューとわかり、その動きもぎこちない。それでいて、家族のことを考えながら、ロボットとして生活することに多少の疑問をもつ。ある意味、失敗作なのだろう。ロボットが余計な感情を持つなどもってのほかだ。しかし、リチャードとその家族はそんなアンドリューを受け入れる。

アンドリューが学習し、知識を得ることで、自由への憧れをもつようになる。このあたりが面白さのピークなのだろう。アンドリューを家族同様に扱ってきたリチャードたち、それは十分わかっているが、自由になりたいと望むアンドリュー。リチャードの最後には、しっかりとアンドリューがやってきて、最後のお別れを言う。このシーンが何よりも感動的だった。それから先がもしかしたら本作のメインなのかもしれない。人間と同じような外見と、最後には、人間と同じように有限な生命をほしいと望む。外見が人間的になってからは、面白さが半減した。そこに立つのは、もはやロボットのアンドリューではなく、ただのおっさんでしかないからだ。

人間そっくりな外見を手に入れたアンドリューはやりたいことを次々にかなえていき、最後には目的を達成することになる。人間とロボットの違いは何かを問う作品なのだろう。正直、物語としては、最後まであの無機質でロボットらしい表情のほうがよかった。リアルな人間ぽさよりも、ロボットの表情のほうが、細かい表情ができない分、観衆はその心を想像するからだ。一見普段と変わらない表情でも、リチャードの最後の場面では、まるで悲しんでいるように見えた。人の心を投影するような、あのロボットの表情がリアルな人間よりも何倍もよかった。

前半はとてもよかったが、後半がなんだか感動が薄れてしまった。



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