ターミネーター4


 2009.6.18  まさかターミネーターで感動するとは 【ターミネーター4】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
せつない。非常にせつなくなる作品だ。半分ターミネーターというマーカスが、人間以上に人間の心をもっている。本作の主役はジョン・コナーのはずだが、間違いなくマーカスが主役を食っている。ターミネーターシリーズという名前を借りた一種の未来戦争ものとなっている本作。未来からやってきたロボットという設定はない。人間対ロボットの戦いを存分に堪能する作品だ。そんな中で半分人間のマーカスが登場する。見た目は人間そっくりで、血も流す。マーカスの行動が自然に、心優しく人間寄りになっていくなかで、最後にはある決断に迫られる。プログラムに異常が発生したとしか思えないマーカスの行動。もしくは、人間に信用されるために、あまりに人間的にプログラムしすぎた結果がこうなったのだろうか。マーカスの行動にはせつなさを感じずにはいられない。

■ストーリー

2018年。人類の滅亡を狙う機械軍〈スカイネット〉が起こした核戦争~〈審判の日〉~から、10年が経った。ジョン・コナーは、生き残った人間たちによる抵抗軍の指導者を引き受け、スカイネットとの戦いを決意する。ある日、ジョンは謎の男マーカス・ライトと出会う。彼の体は半分が人間で、半分ターミネーターだった。記憶を失くしたマーカスは敵か味方か!?

■感想
未来からのロボットと対決するのがターミネーターシリーズならば、本作はまったくの別物だ。たくましく成長したジョン・コナー。そして、激しく攻撃を加えてくるロボットたち。ぱっと見はマトリックスの世界と言っても違いがわからないほどだ。ジョンのリーダーとしての成長。ジョンの父親となる予定のカイル・リーズの登場。そして、半分人間のマーカス。マーカスを信じることができないジョンや抵抗軍たち。マーカスが健気に自分は人間だと訴えるシーンは心に響く何かがある。最初は人間的心が皆無のように感じられたマーカスが次第に仲間と行動するうちに、人間的感覚を取り戻していく。完成されたジョンよりも、成長過程のマーカスに注目してしまう。

本作の主役であるジョンは仲間のことを思い、自分の過去を考え、カイル・リーズの救出に力を入れる。マーカスに対してジョンは、確かにすばらしいリーダーシップとカリスマ性を兼ね備えているが、観衆からすると、完璧すぎるように感じてしまうのだろう。特にマーカスが半分ロボットだと気付いてからは、徹底してマーカスを排除しようとする。マーカスの言葉に耳をかすことなく、遥か昔からの戦いに決着をつけようとする。最終的にはマーカスには大きな秘密があり、人間よりもスカイネットの方が一枚も二枚も上手だということがわかる。最後には正しい判断をしたジョンの完璧さよりも、マーカスの不安定さの方に好感がもてた。

ある意味おまけ的存在のカイルや仲間たち。ジョンとマーカスの関係を円滑に進めるために登場しているようなものだ。ターミネーターシリーズということで、味付け的に必要なのだろう。終盤で登場したシュワちゃんにはさすがにびっくりしたが、サービス精神が旺盛なのは良いことだ。それらをふまえ最後に登場するラストのマーカスの場面は、涙を誘う。人間になりたくて、人間に協力し、自分の存在意義もとっぱらいジョンに協力する。何をもって人間とロボットを区別するのか。人間以上に人間らしいマーカスを見ると、そんな定義になんの意味もないように思えてくる。

まさか、ターミネーターシリーズで感動するとは思わなかった。



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