U-900


 2010.10.18  緊迫したUボートのコメディ 【U-900】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
潜水艦モノにはずれはないという言葉がある。密閉された空間の中で繰り広げられる人間模様は映画にしやすいのだろう。本来ならシリアス路線の物語のはずが、かなりヘンテコな面白さをかもし出している。偽艦長として乗り込んで、そのままめちゃくちゃな指示をだしながらも、Uボートを危機から救い続ける幸運さ。そして、なんでも適当にこなしてきたアツェが、最後までその幸運っぷりをはっきする。あまりにくだらない内容なので、途中で嫌気がさすかもしれないが、妙に面白い。緊迫したUボート内部でのやりとりの中で、一人調子っぱずれの指示をだす男がいる。周りが艦長と信じきっているだけになおさら面白い。奇妙なコメディだ。

■ストーリー

第2次大戦末期。ナチスは伝説の秘宝“キリストの聖杯”を発見。Uボートに聖杯を載せ、地中海からドイツに運ぶ計画をたてる。だが、アメリカへの亡命を目論むお調子者のアツェたちが、艦長になりすまして乗り込んできたことから事態は思わぬ方向へ。追いすがるドイツ軍。海上からはイギリス艦隊の猛攻撃。U-900はジブラルタル海峡の難所“ポセイドンの割れ目”を突破し、無事大西洋を渡ることは出来るのか?そして聖杯の行方は?

■感想
タイトルだけみると、第二次世界大戦時でのドイツUボートの大活躍が見られるのかと思っていた。ある意味大活躍だが、物語のトーンは想像していたものよりも180度違っていた。Uボート内部には歴戦のツワモノたちがそろい、Uボートを指揮する艦長を待ちわびる。そこに偽艦長として登場したアツェが強烈な個性を放つ。あの強すぎるパーマ頭と、へんてこなグラサン。それだけで胡散臭さ満載だが、カリスマ艦長として最後までUボートの指揮をとろうとする。この強引なまでの展開にも、変に納得してしまうから不思議だ。

イギリス戦艦の猛攻撃を避けるためにジブラルタル海峡を突破しようとする。この難所をどうやって切り抜けるのか。うすうす怪しみ始めた船員たちの目を気にしながらも、強心臓をはっきし、やりたい放題やるアツェの行動には圧倒されてしまう。そして、正体がばれそうになると、信じられない幸運から事態が好転していく。よくあるコメディのパターンかもしれないが、シリアスなUボート内の雰囲気が面白さを倍増させている。これがなんてことない日常であれば、これほど面白くはならないだろう。いかめしい面構えをした屈強な船員たちが、冗談のようなアツェの指示に従う。このミスマッチは最高だ。

結局最後までこのお馬鹿テンションを貫いている。最後の最後に大きな危機に直面するが、それすらもアメリカ側に登場した、深読みしすぎるあまりのお馬鹿のおかげですべてがうまくいく。オマケのようにバーガーキングやらマクドナルドが登場した由来的なものまで付け加えている。第二次世界大戦末期のドイツという舞台から連想するのは、とんでもなくシリアスか、もしくわイングロリアスバスターズのように残酷描写が多いのかと思っていた。どちらのパターンでもなく、強引にコメディとして進んでいく。この勢いはすばらしい。

タイトルからは到底想像できない内容だ。



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