四日間の奇蹟


2006.12.26 ”秘密”に酷似した雰囲気 【四日間の奇蹟】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
原作では印象的な場面でも映像化すると、そうではなくなる場面が多々ある。本作も人の中身が入れ替わるものとしては秘密があるのだが原作ではほとんどそんな印象は受けなかった。しかし映像化されてみるとものすごく秘密に近い、もしくはパクリのような印象をもってしまった。かなり前に読んだ原作も内容をしっかりと覚えているということはそれなりに印象深かったのだろう、しかし本作がその良さをどの程度表現できているかというと、微妙だ。オムライスがおいしそうだと思ったはずなのに、本作では一切思わない。そして悲劇的な雰囲気も少ないため、最後の部分での感動もあまり感じなかった。ほのぼのとした雰囲気を味わうことはできたが、すべてが可もなく不可もなくというような感じか。

■ストーリー

不慮の事故によりピアニスト生命を立たれた敬輔(吉岡秀隆)は、その事故で知り合った千織(尾高杏奈)のピアノの才能を見い出し、日本中を慰問演奏で回っている。ある島の療養センターに赴いたふたりは、そこで働く真理子(石田ゆり子)と知りあうが、突然の落雷事故で千織と真理子の心が入れ替わってしまう…。

■感想
原作では細かく説明した部分も時間の関係上はしょらなければならない。それはしょうがないことだろう。そのせいで少し前半の肝である悲劇的な印象が和らいでしまった。もっと強烈に悲劇をアピールすればよかったのだろうか。原作では特に気にはならなかったが、障害を持った千織のインパクトがありすぎて、その他の部分の印象が吹っ飛んでしまった。演技はとてもすばらしいと思うが、その弊害として他の脇役がまったく目立っていない。これはどうしようもないことなのだろう。

人の中身が入れ替わる。これをうまく演技分けており、秘密のときもそうだったが、違和感なく中身が入れ替わったと感じることができた。結局は悲劇的な物語にも関わらず最後は何か心が穏やかになるような終り方だった。泣かせるポイントもしっかりと作られてはいるが、いまいち真理子の普段の生活感を石田ゆり子から感じることができなかったために、泣けなかった。もうちょっと
田舎臭い女優の方がよかったのではないだろうか。

主演女優の演技のすばらしさと雰囲気は感じることができる。本作はもともとミステリーということだったのだが、ふたを開けてみるとちょっとしたヒューマンドラマになっている。ミステリーの肝である人が入れ替わる部分に関してはさらりと流されており、そこにはあまり力が入れられていない。ドラマの軸になる部分がぼやけているので、秘密ほど印象深いものにはなっていない。

原作を読んでいないとより理解度は下がるだろう。



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