Twelve Y.O 


 2008.7.10  作者の強い主張 【Twelve Y.O】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
川の深さはの続編的扱いなのだろう。ただ、前作のインパクトからすると若干弱い。物語全体に漂うハリウッド映画的な雰囲気。強力な戦闘技術を持ち合わせた少女が登場するあたり、リアル感はない。どこか漫画的な印象は拭えない。それでいて、細部の細かい描写はこれでもかと主張してくる。ヘリの操縦であったり、基地内部の表現であったり。作者の自衛隊に対する熱い思いは嫌というほど伝わってくるのだが、これほどの主張を前作から続けてくるとは思わなかった。全てを終わらせるために主要人物が次々と死んでいく流れ。どうも良くあるパターンなので、どこにでもあるB級映画を思い出してしまう。

■ストーリー

沖縄から米海兵隊が撤退した。それは米国防総省が、たった一人のテロリストに屈服した瞬間だった。テロリストの名は「12」。最強のコンピュータウィルス「アポトーシス2」と謎の兵器「ウルマ」を使い、米国防総省を脅迫しつづける「12」の正体は?真の目的は?

■感想
コテコテの軍事モノだ。作者の自衛隊やその他軍隊に対する知識が存分に発揮されている。前作からその雰囲気はあったのだが、本作ではさらにパワーアップしている。物語の構成もなんとなくだが前作と似通っている。強烈なまでの戦闘能力をもった少女。ロボットのように命令されたことだけを忠実に実行する。この手の登場人物は、まあ割りとありがちだ。そして、心温かな仲間たちに囲まれて次第に人間的な心を取り戻していく。これもありきたりだ。ラストのちょっとしたどんでん返しは少し驚いたが全体を通して定番を踏襲している。

軍事的なウンチクはものすごい。その手のマニアはもしかしたら大喜びなのかもしれない。日米安保に対しての並々ならぬ思いを、登場人物を通して語っているのだろう。読み手としてその部分に対しては特別な思いはない。共感はできないが、拒絶反応を示すこともない。純粋に物語として読む分にはまったく問題ない主張だと思う。軍事的な細かな描写や、専門的なヘリ操縦描写。このあたりにしびれる人もいるかもしれないが、どうも読んでいて、めんどくさくなってしまった。小難しすぎて、ところどころ読み飛ばしたというのはある。

全体を通して、物語のトーンがシリアスであり、文体もガチガチなので、読んでいると疲れるのは確かだ。しかし、この重厚な物語は、読み終わった後の充実感がすばらしい。頭の中には、物語に登場した激しい戦闘の場面や、登場人物たちがいつまでも残っている。典型的なストーリーなのかもしれないが、これを楽しめるかどうかは、丁度ハリウッドのありきたりな大作アクションを楽しめるかどうかに似ているかもしれない。

この強烈なまでの自己主張と、リアル感溢れる細かい描写。それでいて、漫画チックなストーリー。正直なんと言っていいのかわからない。



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