トンマッコルへようこそ


2007.1.20 戦争に何の意味があるのか 【トンマッコルへようこそ】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
ノー・マンズ・ランドにも似た雰囲気。ある意味中立地帯と化した村トンマッコル。そこで繰り広げられる韓国軍と人民軍と村人たちとのふれあい。本作が韓国作にもかかわらず人民軍にポイントがおかれているような気がした。キャラクターとしての魅力も人民軍の方であり、かっこいいと思ったのも人民軍だ。同じ言葉を話す民族同士での戦争に何の意味があるのか。登場人物たちは疑問をもちながらも戦わなければならない。トンマッコルという村を見ると、戦争に何の意味があって、何のために戦争をするのか。虚しさと悲しさと感動を心に残す作品だ。

■ストーリー

朝鮮戦争のさなか、韓国軍と人民軍、そして連合軍の兵士たちが偶然にも不思議な村トンマッコルに迷い込んできた。まるでユートピアのような村とそこに住む人々の純朴な温かさに、始めは反目していた兵士たちもやがて打ち解け始めていく。しかし、同胞を探しに連合軍が村へ侵入してきたことから、トンマッコルの平和は打ち破られてしまい…。

■感想
戦争に対する思い。教育や国の雰囲気によって対戦国に対しての憎しみを抱くのだろう。一人の人間同士として触れ合えば判り合えないはずがない。本作の韓国軍と人民軍がトンマッコルにおいて、お互いに協力し合い生活する。そしていつしか兄貴と呼ぶものまで出てくる。なんのための戦争なのか、本当に必要な戦争なのか。末端の兵士はそんなことは考えず、ただ上の命令だけで動く虚しさを感じた。

トンマッコルでの生活では人民軍が協力的であり、韓国軍が強情というような図式になっている。本作の人民軍は男気があり、韓国軍に比べると格好よくみえた。もしかしたら意図的なのかもしれないが、韓国作ということで北朝鮮に対するイメージ戦略なのかもしれない。

トンマッコルという村のほのぼのとしたユートピアのような生活。兵士たちが戻りたくなくなるほど楽しい生活なのだろう。印象的なのは連合軍のスミスがつぶやいた、本当の生とはこうなのだろうという部分だ。ただ食べるためだけに働く原始的な生活だが、そこには無駄なしがらみがなく、
生きる喜びのみ存在するのだろう。

最終的には韓国軍、人民軍共に協力する。そこでは敵同士のはずがいつのまにか戦友のようになり、一緒に戦うこととなる。結局は一人の個人として付き合えば戦争などという無意味なことは必要ないのだ。相手に怒りを覚えるのは仲間が殺された瞬間。韓国軍の兵士が、人民軍の兵士が殺されて怒りくるうのもなんら不思議なことではない。

同じ民族同士の戦争ほど悲しいものはない。最後に皆が協力する場面では涙をこらえずにはいられなかった。



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