時をかける少女


2007.5.20 笑いあり、涙あり 【時をかける少女】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
原作から何年後かの現代を舞台に、あくまで今の高校生をベースに物語が描かれている。多少話題にはなってはいたが、それほど期待はしていなかった。ところが、蓋を開けてみると笑いあり涙ありで僕個人としては構成的にも原作を超えていると思った。絵柄的にも雰囲気的にもあくまで現代の高校生をベースにしている。馴染みやすさと感情移入のしやすさは群を抜いている。タイムリープというSF的な能力よりも、女一人に男二人というドリカム(昔の)構成でのなんでもない高校生活に懐かしさと楽しさを感じた。

■ストーリー

高校2年生の紺野真琴(声・仲里依紗)はある夏の土曜日の実験室で不思議な体験をし、それ以来時間を跳躍するタイムリープの力を身につけてしまう。はじめはそれを巧みに利用して日々を楽しんでいた彼女だが、仲良しの同級生・千昭(声・石田卓也)から告白され、それを強引になかったことにしようと時を遡ったときから、運命の歯車が狂い始めていく…。

■感想
見始めて最初のうちは、どうしてもメインの三人の演技が気になって仕方がなかった。けだるいような話方に、不自然な演技。これはもしかしたら途中でだれてしまうかと思ったほどだ。しかし、不思議なことに時間が経つとそれらがまったく気にならなくなる。そればかりか、その特徴的な話し方も個性として十分認識できるほど物語にのめりこんでしまった。

タイムリープというすでにSFでは使い古された感のあるものをとてもうまく使っている。天真爛漫な女子高生である真琴が悪用するでもなく、自分の欲求の赴くままにくだらないことに使う。そのシーンは軽快なテンポで描かれ、自然に笑いがこみ上げてくる。特にドリカム形式の三人の微妙な関係が崩れるあたりは、わかっていながらも
ニヤニヤするのを止められなかった

今風の二人の男子高校生。そしてちょっと抜けているが明るい女子高生の真琴。この三人は原作とは明らかに違う。今、原作と同じようなキャラクターを主人公にしようとすると、とたんに不自然なものになってしまうだろう。この三人のキャラクターがあればこそ本作は成功したのだと思う。コアな原作ファンのために原作のキャラクターを登場させたりとファンサービスも怠り無い。

最後のホロリとくる場面では、予想外に泣けなかった。悲しい雰囲気は十分に伝わってくるのだが、突き抜ける何かがなかった。それはもしかしたら純粋な心をなくしてしまったからかもしれない。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp