天使の卵


2008.1.10 恋空を見て泣ける人にオススメ 【天使の卵】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
原作はヒットしたらしいが未読。偶然に偶然が重なり、運命的な出会いをする歩太と春紀。見た目的なはなしでいうと、小西真奈美の容姿からは市原隼人より年上だとはなかなか見ることができない。全体的に、泣かせようとする流れがはっきりと見えたために、心の中で少し反発してしまった。彼女の姉を愛してしまい苦悩する男として描かれている歩太が、悩みながらも、とても思いっきりよく一途に突っ走るタイプなので、禁断というイメージをほとんど感じることがなかった。ここ最近の邦画の流れにのるように、恋愛物で泣かせようとする部分が強くでており、少し食傷気味に感じたのは確かだ。原作が出版されてから、随分経っており、時期的に少し遅すぎるようにも感じた。

■ストーリー

美大志望の浪人生である歩太(市原隼人)は夏姫(沢尻エリカ)という彼女がいながら、電車の中で春妃(小西真奈美)という女性にひとめぼれ。彼女のことが忘れられなくなる。その春妃と精神を病んでいる父が入院している病院で声をかけられる。彼女は父の主治医だった。そしてもうひとつ驚くべき偶然が。春妃は夏姫の姉でもあった…。春妃のことが忘れられず、一途な気持ちをつのらせる歩太。その気持ちに春妃も心動かされるが…。

■感想
泣かせるためには、ある程度決まりきった流れが必要なのだろう。そして、それが予想でき、なおかつ観衆の涙腺を緩ませるには、相当の演出が必要なのだろう。本作の主人公である歩太は美大を目指す浪人生であり、絵が重要なキーポイントとなっている。本作を見て、学生時代の淡い思い出などを思い浮かべながら見ることができれば、間違いなく泣けるだろう。どの登場人物に感情移入できるかにもよるが、僕の場合は、どのタイプにも当てはまらなかった。

ある意味タブー的な彼女の姉に恋する男であるはずの歩太だが、随分とまっすぐというか、あっけらかんとしているように感じた。もう少し、背徳的なものだったり、どこか後ろめたい気持ちがあってもいいのではないかと思えてきた。それが現代っ子であり、
リアルな青年像をあらわしているのかもしれないが。

健気で弱く、そして守りたくなる春紀。確かにそのとおりで、男が惹かれるポイントをうまくついている。ただ、好感がもてるのは姉の春紀ではなく、妹の夏姫だろう。歩太にフラレ、その相手が姉と知りながらも、一途に思う姿は見ていて応援したくなること間違いなしだ。うまくいかないとわかっていながらも、妹の存在が善であればあるほど、ヒロインである姉が悪いように思えてしまうから不思議だ。姉は何も悪くはないのに、そう思えてしまう。

最後はお決まりどおり、強烈に涙を誘う場面がある。ある程度予想できる流れだ。この予定調和を純粋に楽しむには訓練が必要なのだろう。もしかしたら、ちょうど恋空を純粋に楽しめた人にはまさに、うってつけの作品かもしれない。



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