丹下左膳 百万両の壺


2007.4.14 和久井映見のツンデレ 【丹下左膳 百万両の壺】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
拍子抜けするほど明るいと思えば、とたんにシリアスになる。これほど雰囲気が二転三転する時代劇も珍しいだろう。片目、片腕を失いながら剣の腕がたつ左膳。時代劇といえば山田三部作をイメージしてしまうので、そのギャップに驚いた。人の死に対してやけにあっさりしているかと思えば、少年との別れに涙したり。明暗がはっきりとしているだけに余計にコメディな部分が目立っている。それだけならば特に特徴がないのだが、矢場の女将さんとして登場する和久井映見がとても強烈な個性を放っている。ぼんやりとした見た目とは裏腹に、激しい声で左膳を叱咤する。このツンデレ的なキャラクターがあればこそ本作が面白くなっている所以だろう。

■ストーリー

時は八代将軍、徳川吉宗の時代。主君の裏切りで右目と右腕を失った丹下左膳は、侍の身を捨て、矢場の用心棒に収まっている。財政難に苦しむ柳生藩主対馬守は、柳生家の家宝“こけ猿の壷”に莫大な隠し金の在り処が塗り込まれていることを知るが、壷は江戸の道場に婿養子に入った弟・源三郎への祝儀として譲り渡した後だった。そんな事情を知る由もない源三郎の妻・萩乃は、その壷を廃品回収屋に売ってしまう。紆余曲折の末、壷は長屋に暮らす少年の金魚鉢に収まっていた。かくして百万両の壷を巡り、様々な回収作戦が始まるが…。

■感想
ある意味ツンデレだ。子どもが嫌いで見るのも嫌だといいながら、実際には左膳と争ってかわいがる。嫌だ嫌だといいながら離すことができない。これはまさに時代劇版ツンデレだろう。そんな強烈な女将さんが左膳との軽妙な掛け合いをし、男にも負けないほどの堂々とした態度で矢場を仕切る。左膳と言い争いながら、テキパキと何でもこなす姿は現代で言うところのキャリアウーマンだろう。和久井映見の容姿とのギャップもまたすばらしい。

その他のキャラクターたちものんびりしているというか、落ち着いておりトゲトゲしさがない。激しい争いの場面があっても、その後の場面ではどこかほのぼのとした平和な風景が続いている。本作の特徴かもしれないが、ピリピリとした緊迫感はなく、なんだかんだいいながら平和で面白おかしく生活しているような雰囲気を感じることができる。辛い別れがありながらも、最後にはすべてが丸くおさまっている。これがTHE娯楽映画だという流れで安心して見ることができる。

丹下左膳というキャラクターはまったく知らないが、本作をきっかけとして新たに何か興味がわいてきたかもしれない。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp