宿命 東野圭吾


2005.4.21 小ぢんまりとした 【宿命】

                     
■ヒトコト感想
読んだ直後の感想は白夜行に似ている、しかしスケールがそれほど大きいという わけではなく、小ぢんまりとしているが綺麗に纏まっている感じがした。 人生でも何かしら運命のような物を感じることがあるが、 本作の人物達のように生まれた直後に決まった運命は、 まさしく宿命にふさわしいと思う。

■ストーリー
高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならなかった男は、 苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。 男の前に十年ぶりに現れたのは学生時代ライバルだった男で、 奇しくも初恋の女の夫となっていた。刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果すとき、 余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。

■感想
白夜行と比較してしまうとどうしても見劣りする感はあるが、本作の方が白夜行よりも 前に書かれたものなのでそれはしょうがないのかもしれない。 読んでいて白夜行ほど熱中できなかったのは物語が箱庭的で一定の登場人物達だけで、 ごちゃごちゃと進んでいたのでそのへんかもしれない。

殺人ミステリーは正直たいしたことないと感じた。 メインはそれにつながる宿命の物語で、偶然に偶然を重ねた結果起こることが、 あらかじめ決められていたことのように思えてしまう。

本作単体として読むととても良くできていると思うが、物語の流れとしては白夜行という すばらしい作品があり、脳を扱うものとしても他に何作かすばらしい物があるので、 その辺を先に読んでしまうとどうしても見劣りしててしまう。 僕はまさしくその順番で読んでしまったので、ちょっと読む順番を間違えたと思った。

東野作品としては途中で何となく展開が読めてきたというのと、 読んでいてあまり緊迫感を感じなかったので残念だった。 今までに読んだ作品がかなり面白かったのでどうしてもそのレベルを期待してしまう ので最初からハードルは高かったと思うが。




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