少林サッカー 外伝


 2008.7.8  誇大広告に注意せよ 【少林サッカー 外伝】  HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
少林サッカーのあの楽しさをもう一度味わいたいとレンタルした本作。中身はタイトルからは想像できない、まったくの別物と化していた。外伝という言葉がつくだけで何でもありなのかと思わざるえない流れ。いくらなんでも少林サッカーに登場したハゲ一人をフューチャーして外伝というには誇大広告として訴えられてもしょうがない。中身はほぼサッカーとは関係のないちょっとしたファミリーのごたごたモノだ。激しいワイヤーアクションもなければ、ワクワクするような漫画チックな描写もない。ちょっとお笑いの要素が追加された普通の家庭内ドラマだ。だいたい、少林サッカーにおいても、それほど際立って目立つタイプではなかったハゲの外伝と言われても、ピンとこないのが正直な感想なのかもしれない。

■ストーリー

『少林サッカー』のキャラクターのひとり・鉄頭功をフィーチャーした外伝。デビルチームとの試合後、鉄頭功は娘夫婦の下に帰るが夫婦は離婚の危機に。鉄頭功がふたりを仲直りさせようとする一方で、サッカーでの敗戦を根に持つチンピラたちが暗躍し…。

■感想
はっきり言えば、本作にサッカーの描写は必要ない。少林サッカーというタイトルが付いているだけに、まったくサッカーの描写を出さないわけにはいかず、無理やり追加したような感じだろうか。石頭のハゲが息子夫婦と孫の心配をする。その姿はどこにでもいる普通の良いおじいちゃんなのだろう。少林サッカーの仲間たちはほとんど登場することなく、終始このハゲメインで物語が進んでいく。キャラクター的には確かに面白いキャラなのだが、物語のトーンが家族愛にこだわっているために、妙に居心地の悪さのようなものを感じてしまった。

息子の家へ家政婦として入り込むハゲ。いくらなんでもあの見た目でお下げ髪のカツラをかぶったところで、女には見えないだろう。しかし、何も疑うことなく子供を預ける息子。なんだか、ずいぶんとご都合主義で半分以上はコメディが入っていると思っていた。しかし、物語のトーンはあくまでも孫と息子の関係を心配する良いおじいちゃんであり、真剣なファミリードラマに仕立て上げようとしている。サッカーでの敗戦に恨みをもつチンピラというのもずいぶんと無理があるようだが…。少林サッカーやカンフーハッスルに通じるあの爽快感は一切ここには存在しない。

少林サッカーというタイトルを抜きにして考えた場合どうだろうか。カンフーの達人が息子夫婦の仲を心配し、孫と一緒にドタバタを繰り返す、ほのぼのハートフルなコメディになっていただろうか。その香りは感じるにしても、マーケティング的には振るわなかったのだろう。そう考えるとこのタイトルには必然性があり、内容は不自然だが、納得するしかない。ただ、ファンはある程度の水準のものを期待してしまう。そして、本作を見た人のほぼ8割程度は”だまされた”と感じることだろう。

外伝には曲者が多いのだが、ここまで誇大広告なのにはちょっと驚いた。



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