しゃべれどもしゃべれども


2007.12.21 落語の面白さがわかった気がする 【しゃべれどもしゃべれども】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
普段まったくなじみのない落語の世界というのを、少しでも感じることができるのだろうか。本作は、話べたを落語で直そうという、一見まったく的外れなことのような流れになってはいるが、落語を通して世界が広がり、新しい自分を発見することができる。これは話しべたに限らず、何に対しても言えることなのだろう。チャキチャキの江戸っ子を国文太一が演じており、べらんめぇ口調が最初は気になったのだが、終わりごろにはまったく違和感なく見ることができた。落語の面白さやおかしさはなかなか理解しがたい部分だとは思うが、本作を見ることで落語がほんの少しでも理解できたような気になるから不思議だ。

■ストーリー

古典を愛する二つ目の落語家、今昔亭三つ葉。思うように腕もあがらず、悩んでいる彼のもとに、「落語を、話し方を習いたい」とワケありの3人が集まってくる。すこぶる不愛想で口下手な美人・十河五月、勝気なためにクラスになじめない大阪から引っ越してきた少年・村林優、毒舌でいかつい面相の元プロ野球選手・湯河原太一。ひょんなことから「話し方教室」を開くことになった三つ葉だが、3人は集まるごとに言い争い、なかなか落語も覚えない。想いを寄せていた女性には結婚相手がいることを知り、ますます落ち込む三つ葉なのだが…。

■感想
寝ずの番というのを見た。同じように落語家一門の話なのだが、本作の方がよりなじみやすいだろう。わりと今風な若者なのに、普段から着物をきて、落語をこよなく愛す。そして、好きな人に告白できないシャイな面も見せる。国文太一がこの三つ葉の役を好演している。落語自体の腕がどうだとか、他の出演者がどうだとか言うよりも、落語の世界をなんとなくだが、感じることができる本作は貴重なのだろう。

口下手で不機嫌に見られがちな五月。もしかしたらこの五月を演じている香理奈も普段から怒っていると思われがちなのかもしれない。美人で、目鼻立ちが整っていると、黙っているとなぜか近寄りがたく、不機嫌なオーラを発しているように感じてしまう。それをそのまま地でいくような本作のキャラクターはまさにうってつけなのだろう。そのほかにも、関西弁のガキや元プロ野球選手など、理由はいろいろあるにせよ、落語を学びにくるというありえない展開もまた面白い。

今までであれば、古典落語のように決まりきった話をされても、まったく面白いとは思わなかった。テレビで落語が放送されないのも、一般受けしにくいからなのだろう。それをあえて映画で、そして、落語をメインにしているということがすごい。ドラマであれば、かなり現代風にアレンジしたものがヒットしたという例はあるにせよ、本作のように古典落語を、教えるというような流れの作品は今までにないことだろう。まさに、落語に対してすそ野を広げるために作られたような作品かもしれない。

本作を見て、なんだか落語を見に行きたい気分になってきた。



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