寝ずの番


2007.10.22 落語家の嫁はすごい 【寝ずの番】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
落語家一門の面白思い出話とでも言うのだろうか。落語的な話はよくわからないが、卑猥な言葉を連発してもそれが関西弁であるだけに、直接的な卑猥さは感じない。「そそ」であったり「ち○こ」であったり、普通に歌の中に登場する言葉を聞いても、このなんともいえない不思議な空間の中ではすべてが許されるような、そんな不思議な感覚を与える映画だ。ネタ的にはどこかで聴いたことのあるエピソードであったり、古典的な話であったりと判りやすいが、その分衝撃はない。思い出話をのんびり、面白おかしく聞きながら楽しむのが正しい見方なのだろう。

■ストーリー

上方落語界の重鎮・笑満亭橋鶴―今まさに、臨終のとき。弟子たちが見守る中、一番弟子の橋次が言った。「師匠、何か心残りはありませんか?」「最期に、これはやっておきたかったということはありませんか?」師匠の口がもごもごと動いた。「そ、そ○が見たい…」「そ○?!」「そ○ですか・・・」「そ○ねえ・・」弟子たちが、あっけに取られ、誰がそ○を見せてくれるのだろうか・・?落語家一門の「寝ずの番」は、一筋縄ではいかない。悲喜こもごもの話しや噺しが盛り上がり、歌えや、踊れやの大騒ぎ。それが一夜だけではなく、一番弟子の橋次、そして、おかみさんの志津子と次々に「寝ずの番」が行なわれていく・・・

■感想
落語家一門。特にその弟子たちの妻たちがいい味を出している。特別目立つ場面は茂子以外はほとんどないのだが、それでも印象深い。夫たちがくだらない下ネタを繰り返してもそれを嫌がるどころか、一緒になって歌いだす。なんだか世間の女性とは一味も二味も違う、たくましさのようなものを感じてしまった。これが落語家の嫁というものなのだろうか。

寝ずの番という習慣は良くわからないが、要は故人を懐かしみながら宴会をして夜を明かすということなのだろう。本作は基本的に故人の思い出話を繰り返すことに終始している。その思い出話に独特のユーモアと、少しの下ネタと、決して標準語では語れない歌を歌いだす。個性豊かな弟子たちと、その嫁たち。
古き良き日本の葬式を見るようで、新鮮に感じてしまった。

正直言うと、落語の面白さというのはよくわからない。毎回決まった話を聴いてなぜ面白いのだろうかと疑問に思っていた。しかし、本作を見ると、ほんの少しだけその気持ちが判るような気がする。寝ずの番もそうだが、話しをする本人が何より一番楽しんでいるというのが重要なのかもしれない。話しのおかしさが自然と聞き手にうつりこむような、そんな不思議な感覚だろうか。たいして面白くない話にも、自然と笑みがこぼれてしまった。

夫をたてる妻という図式も、今の日本では希少なように感じた。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp