深紅


2007.3.11 強烈な襲撃シーン 【深紅】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
原作の衝撃を忠実に映像化している。今まで観ていてこれほど嫌悪感や苦しさがわいてくる映像があっただろうか。衝撃的な都築則夫の襲撃シーン。原作でもそのインパクトは大きかったが、映像化されるとさらに強烈な印象を残している。原作がショッキングな描写を前半部分で終えたのにくらべ、本作は細かく分割しながら作品全体にちりばめられている。ストーリーはわかっているのだが、衝撃的出来事を最後まで引っ張ることで、作品のテンションを終始高く保っている。メインの二人の女優の演技もすばらしく、全体的にはクオリティは高かったと思う。しかし観終わった後には、強烈な襲撃シーンだけが頭の奥深くにこびりつくように残っていた。

■ストーリー

秋葉奏子は、小学校の修学旅行中、都築則夫に両親と幼い弟を殺される。その悲惨な事件から8年後、殺人犯の娘と被害者の娘は出会うことに。秋葉奏子は加害者の娘だと知りながら近づいた。いったいどんな生活をしているのか、自分の心の傷が彼女と会うことでどのように変化するのか。心に傷を抱えて成長したふたりは出会い、そして友達となる。果たして、2人のその後は…?

■感想
本作は絶対に地上波で放送されることはないだろう。現実に起こった事件を連想させるような一家殺人事件。その細部にわたって加害者の心理までもが語られている。それに付随して被害者の娘と加害者の娘のひそかな交流が語られてはいるが、正直そこにはあまり印象がなかった。すでにストーリーを知っているというのが大きいのだろうが、それぞれの娘の生き方うんぬんというテーマがかすんでしまうほど強烈な映像があるからだ。

一家殺人事件をこれほど生々しく語られると、目を離すことができない。原作のイメージからすると、そのあたりはいいようにぼやかされ、平凡な作品になっているのだろうと予想していたい。しかし実際は一つ一つ原作から忠実に再現されている。
追いつめられた人間の狂気。結局この都築則夫に関してはこれ以後いっさい語られることはない。彼の心はどうだったのか、娘にクローズアップされてはいるが、本当に知りたいのは都築則夫の胸のうちだろう。

最後は不自然な展開からやけにさわやかな終わり方になっている。それぞれ二人の娘が過去を振り払うように携帯電話からメモリーを削除する。輝ける未来に進むために。このあたりは、実に映画的で現実的ではない。すべてを清算して、最後はさわやかに後味良く終わらせようとしているのだろうが、その前に画面に登場した都築則夫のインパクトが薄まることはない。部屋に一人たたずむ都築則夫。それはまったく救いのない映像だった。

原作と違うのは一家惨殺シーンをどこにもってくるかだけだ。全体に散らばらせることによって、よりその印象が強くなっている。原作よりも明らかに都築則夫に焦点が当てられている。それだけに暗く陰鬱な気持ちになってしまう。



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