2006.3.24 ある意味、同窓会だ 【四季 秋】
■ヒトコト感想
その後の後日談。これにつきる。それ以外には何もなく、ミステリーでもなければトリックがあるわけでもない。しかし本作を面白く感じてしまうのはなぜだろうか。やはり今まで読み進めてきた作品の中で登場してきた懐かしい面々が一同にかいして同窓会的な雰囲気と、予想はしていたのだが、人物同士の相関関係が明らかになると非常にすっきりとする。ある意味本作で、S&Mシリーズ、Vシリーズすべてのけりをつけたといっても過言ではない。シリーズ未読の人は読むべからず。
■ストーリー
手がかりは孤島の研究所の事件ですでに提示されていた!
大学院生となった西之園萌絵と、彼女の指導教官、犀川創平は、真賀田四季博士が残したメッセージをついに読み解き、未だ姿を消したままの四季の真意を探ろうとする。彼らが辿り着いた天才の真実とは?
■感想
真賀田四季博士。最初に登場したすべてがFになるからS&Mシリーズを経て、次のVシリーズまでその影響力を及ぼした偉大なキャラクター。このキャラクターが存在していなければS&Mシリーズはおろか、Vシリーズさえも骨抜きになっていたかもしれない。まあ、恐らく後づけの部分が大多数を占めているのだろうがそれでも欠けていたパズルのピースがぴったりとはまるようでとてもしっくりきている。
しかし、本作を単体で考えるとまるっきり意義が無いものになってしまう。すべては今までのシリーズを読み込んできた人に対するメッセージであり、読者サービスもあちこちにちりばめられている。もしかしたらそれぞれのシリーズが終わってからも根強いファンから、あのキャラクターをもう一度出してくれという要求が作者にあったのかもしれない。それらをすべて引き受けるという意味では本作はとても読者の要求に対して素直に答えているように感じる。
四季というタイトルがついてはいるが、本作には四季はそれほど登場しない。しかしその存在感は圧倒的である。しかし、春、夏と比べると四季の天才具合があまりアピールされていないような気がする。年齢と共に際立った部分は心の奥底に隠されているのだろうか、凡人とは別の超人的な何かを少し期待していたのだが本作ではそれを感じ取ることはできなかった。
本作はまさに、どうすればファンが喜ぶかをすべて分かったうえで作られた作品だ。
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