青春の門 筑豊篇


2006.9.12 今後の展開が楽しみ 【青春の門 筑豊篇】

                     
■ヒトコト感想
青春の門というタイトルから何か青臭いものを感じてしまった。だからといって何か偏見を持って読んだというのはない。壮大な物語の序章ということで、それなりに主人公である信介の父親の話から始まっている。今後重要になってくるであろうキャラクター達も本作で登場し、その後の展開に大きな役割を果たしそうだ。本作だけ読んでも十分楽しめる作品だが、これがこの後何巻にも続くと判っているだけに、どんな展開が待っているのか楽しみにさせるような作りになっている。

■ストーリー

誰もが一度は通りすぎる、そしてただ一度しか通ることの許されない青春の門。熱い血のたぎる筑豊の地に生を享けた伊吹信介。目覚めゆく少年の愛と性、そして人生への希望と旅立ち…。

■感想
青春の門と言いながら本作のメインは主人公の小学生から中学生時代に重点がおかれている。そうなってくると当然性的な部分がメインとなってくる。時代的なものもあるが、やけに生々しく感じてしまった。今のように表面だけ綺麗ではなくこの時代独特の物。外部から得る情報が極端に少ない時代だからこそ友達や兄貴分から得る情報が全てであり、ともすれば現在よりも随分と、この時代の年代にしては進んでいるのかもしれない。

時代的なものもあるが、昔九州に住んでいたことがあるので言葉の面でそれほど違和感を感じることはなくても、今の九州の人間にはない男臭さというものを小学生である信介に対して感じてしまった。小さい頃から周りから義理人情を教え込まれた人間は今後成長していくにあたってどのような人間になるのか、綺麗ごとだけではすまない世の中でどのように世間を渡り歩いて行くのか、本作ではまだ純粋な信介なのだが、それが今後どうなっていくのか、楽しみな部分でもある。

信介の生まれた境遇は決して恵まれているとはいえないが、逆に不幸だとも思えない。すばらしい父親のおかげで周りからちやほやされたり初対面の人間に対しても一目置かれることもある。これがただの親の七光りなのか、それとも今後の信介の実力に伴うのか本作ではまだまだ信介自身の人間性で周りの人々を引き付けているとはいえないが、今後は父親とは関係なく、人間的魅力で周りの人間を心酔させていくのだろうか。

まだまだ始まったばかりで、これからの展開が楽しみだ。

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