SAYURI


2006.2.25 外人から見た芸者像 【SAYURI】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
外国からみた日本のイメージなのか?一昔前のステレオタイプな変な日本像を持っているのではなく、昔の日本を忠実に再現しているといっていいのだろうか。イメージ先行で実際と異なる部分もあるのだろうが、本作は十分日本を表現できていると思う。むしろ大げさに誇張された部分はより日本的であったりもする。美しい映像や、障子に映る人影など日本の美を意識する外国人だからこそだせたものかもしれない。作品自体はわりりとありきたりなものだが、主演が日本人でないというのはほとんど感じさせない作品だ。

■ストーリー

貧しい漁村に生まれ、9歳で花街の置屋に売られた少女・千代。そこには、千代と同じ境遇のおカボという少女と、花街一の売れっ子芸者、初桃がいた。下働きの辛さと、初桃の執拗ないじめに希望を見失いかけていた千代に、ある時、“会長”と呼ばれる立派な紳士が優しく声を掛ける。この一瞬の出会いが千代に確かな希望をもたらした。以来、芸者になって会長さんにもう一度逢いたいと夢見る千代。やがて千代は花街一の芸者さゆりへと成長していくのだった・・・。

■感想
外国人は今でも日本では羽織、袴で、ちょんまげ姿の侍がいると思っている。というような笑い話もあるが、外国人が日本の映画を撮るとへんてこな日本を描いてしまうことが多々ある。それを考えると本作は日本のことを良く分かっており、不自然な部分は多少あるが普通に見るぶんには違和感なく見ることができる。さらに外国人から見た、芸者や日本の美しさが強調されているようでとても美しい映像で表現されている。

なんとなく昔流行ったおしんを思い出してしまった。かすかに覚えているのだが子供時代にいじめられたり、苦労する部分は同じような気がした。そのあたりは定番で、その後自分の美貌と芸者としての才覚から昇りつめていく。単純なシンデレラストーリーかというとそうではなく、自分が恋する人物には結局近づくことができない。とても悲しく、はかない物語かもしれない。

しかし、ちょっと思ったのは千代が恋する男役として渡辺謙をもってきたのはどうなのだろうか。年齢差的に無理がありすぎる。その後成長したといっても親子ほどは離れているだろう。子供時代に唾つけて、ってのはさながら源氏物語か?

本作の見るべきところは、日本人以外の俳優達で、全てが違和感なくおさまっている。役所広司や渡辺謙と向き合っても不自然さが全然ない。コン・リーにいたってはそのまま日本人に見えてしかたがなかった。

日本人監督ではない、外国人から見た芸者像が垣間見える作品だ。



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