ミュンヘン オリンピック・テロ事件の黒幕を追え


2006.1.30 驚愕な歴史的事実 【ミュンヘン オリンピック・テロ事件の黒幕を追え】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
おそらく映画がオリンピックのテロを起こしたパレスチナ人に復讐する人物達に焦点を当てているとしたら、本作はそのテロを起こした張本人達に焦点を当てている。その中でも首謀者である、アリ・ハサン・サラメの生い立ちからその波乱の人生を終えるまでが丁寧に書かれている。多数のアラブ系の人物が登場するのだが、日本人にとってはその名前に馴染みがなく、主要メンバー以外は覚えることができない。ちょっと歴史的事実を追い求めすぎているのか、説明ばかりになってしまい、物語性に欠けているような気がした。ミュンヘンという映画を見る前の予習としては良いのかもしれない。

■ストーリー

ミュンヘン五輪でイスラエル選手団を襲ったパレスチナ・ゲリラ「黒い九月」を追うモサド暗殺部隊。スピルバーグ監督映画の背景を描いた真実のドラマ。1972年9月、ミュンヘン・オリンピックの選手村をパレスチナ・ゲリラ“黒い九月”が襲い、イスラエル選手団の11人を惨殺した。イスラエル政府は報復を決意、情報機関モサドが暗殺チームを組織し、“黒い九月”の幹部を次々と抹殺し始める

■感想
イスラエルとパレスチナの争い。ひいてはユダヤとイスラムの争いに日本人はあまり馴染みがないだろう。僕自身もなぜそんな争いが起こるのか、その理由は良くわかっていない。本作を読んでいると、言葉では言い表せないとても根深いものを感じるが、それを理解するのは日本人にとっては難しいことだろう。なぜここまで罪も無い人々を巻き込んだり、また一般人が他民族に対してそこまで怒りを覚えることができるのか本作を読んだところで、その疑問が尽きることはない。

ミュンヘンオリンピック・テロの首謀者である。サラメの波乱万丈な人生が描かれており、サラメ以外にも多数の人物が登場するのだがその登場人物達に対する印象がほとんどないのが現状だ。名前がアラブ系で馴染みがないというのもあるが、いったい誰がどうなっているのかというのを、細かく覚えることができなかった。アラファトなど主要な人物や聞いたことがある人物に対しては強烈な印象が残っているのだが。

歴史的事実をたどらなければならないので、しょうがないのかもしれないが出来事を説明的になぞっているような印象はぬぐえない。ノンフィクションの宿命だろうか、もっと物語性を持たせ、そのときの登場人物の心境なりを語ってほしかった。

ミュンヘンという映画を見る前に、事前知識として入れておく分には申し分ない作品だが、本作を単体として楽しむためには少し物足りなさを感じてしまうかもしれない。



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