SAW3


2006.12.11 今までの資産を使いまわす 【SAW3】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
今までの流れから比較するとずいぶん雰囲気が異なっている。相変わらず拷問道具のような仕掛けには驚かされる。本作はそれがあるがゆえにSAWという雰囲気をだしてはいるが、それ以外は今までの資産を使いまわしにしているように感じられた。強烈な印象を残す殺人シーンに比べて圧倒的なトリックや仕掛けがない。ゲーム的な面白さも少しトーンダウンしているような気がした。今まででは謎であった部分をこの3ですべて明らかにして観客にすっきりとしてもらうつもりか。しかしこれは1と2を見ていることが前提で、3から見た人にはまったく意味がわからないだろう。衝撃度で言えば明らかに1,2,3の順番だ。

■ストーリー

女刑事ケリーは、小学校でおこった殺人現場に呼び出される。鎖に繋がれた死体は爆弾で飛び散っていた。死体が行方不明となっていたエリック刑事ではなかったことに、ケリーは胸をなでおろす。でも、ジグソウはもう動けないはずなのに、これらの仕掛けはいったい誰がやったのか?しかも、今までのジグソウのパターンとは違うようだ。その日の夜、ケリーは何者かに拉致され、気が付くと、どこかの地下室に監禁されていた…。新たなゲームが、スタートしたのだろうか?

■感想
なぞの殺人者ジグソウ。その正体不明感と神出鬼没な雰囲気。そして残酷なゲームが本シリーズの魅力だと思う。暗闇の中でぶれる映像、そしてざらついた映像描写。薄暗くそして不衛生な部屋で繰り広げられる殺人劇。これがある種のゲームによってもたらされており、最後にはその理由があきらかになる。今までと同じ手法なのだが、前ニ作と比べると明らかにその不思議具合と理由を明らかにされたときの印象が弱い。何故かやけに説明的な印象が残った。

哲学的な雰囲気もだしていたジグソウがここへくるとただの老人にしか思えなかった。圧倒的な存在感もなければ、邪悪な雰囲気もない。何か人に対して
復讐は無意味だと諭す牧師のようにさえ見えてしまった。全体をとおしてこのジグソウのキャラクターがすべての鍵を握っているはずなのに本作のような雰囲気だと全体のトーンがずいぶんと様変わりことがわかった。

SAW1、2で解明されなかった細かな部分を懇切丁寧に説明してくれる。確かに作品のバックグラウンドが判るのは良いことなのかもしれない。しかし、それがメインのようになってしまい、SAW独特の何が何だかわからない理不尽な展開での殺人が起こり、そしてその理由がゆっくりと語られる。そんな雰囲気を期待していた。

最終的には教訓めいたことが語られてはいるが、それさえも途中で誰もが想像する展開に終始していた。最後にあっと驚くようなサプライズがまったくなかったことと、すべての裏側が最初から明らかになっていることで、不思議さで観衆の不安感を煽ることができなくなってしまう。何が起こるかわからないという緊迫感がないのが一番かもしれない。

グロテスクなシーンは多数登場するが、1,2を見ている人にはそれなりに免疫ができているだろう。



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