さくらん


2007.8.24 遊女の悲喜こもごも 【さくらん】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
まったく別物なのだが、どうもSAYURIを思い出してしまった。遊女と芸者は根本的に違うはずだが、裕福な男に見初められ、身請けを目指す部分では近いのだろう。映像の美しさで言えばちかいものがあり、シンデレラストーリー的な内容もちかいかもしれない。本作はSAYURIの映像の綺麗さに負けないほど、美しい桜の映像と、華やかなおいらんの映像を見ることができる。漫画原作らしく破天荒な内容だが、遊女の悲しさをわかりやすく表現している。

■ストーリー

吉原遊郭「玉菊屋」に売られて来た8歳の少女、きよ葉。女だけの世界で自分も遊女になっていくのが怖いと逃亡を試みるが即座に捕まってしまう。店番の清次は咲かないと言われた吉原の桜が「もし咲いたら」ここを出してやるという。トップ花魁・粧ひの挑発に乗せられ吉原一の花魁になる決意を固めたきよ葉は花魁街道まっしぐらに人気遊女への道を駆け上がっていくのだが…。

■感想
女だらけの遊郭で繰り広げられる悲喜こもごも。きよ葉がどのようにして女の世界でトップをとるのか。セオリーどおりではない主人公の性格。そして、きよ葉の成功をねたむ女の恐怖。男にすべて依存する生活。おいらんの悲しい定めをまざまざと表現している。いかにも漫画的な主人公なのだが、一本芯の通った性格と、周りを気にせず自分の道を突き進むのその考え方は、観衆の共感を得ることができるのだろう。

お決まりどおりの、女どおしの争い。そこに、お目当ての男に対する思いも加われば、遊郭は修羅場とかす。きよ葉が成長するにしたがって、周りの環境と、自分の地位も少しずつ変わってくる。本人が望まずしても、自然とシンデレラストーリー的になっている。それが幸せかどうかは別にして、きよ葉という遊女の人生感が少しずつ理解できた。

映像のカラフルさがことさら目に付く本作。特に
真っ赤な色が印象に残っている。きよ葉の着物であったり、部屋の模様であったり、首から吹き出る鮮血であったり。本作のイメージがこの赤に固定されていながらも、内容的には赤い印象をもつことはなかった。きよ葉の遊女として心意気は、赤というよりも青。それも冷めきった氷のような青に感じた。



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