サハラ砂漠の王子さま 


2007.10.7 ちょっと意外な展開か 【サハラ砂漠の王子さま】

                     

■ヒトコト感想

ガンジス河でバタフライが旅の初心者のドタバタぶりを楽しむとすれば、本作は旅でのハプニングを楽しむべき作品なのかもしれない。随分旅なれた作者が、ひとりでヨーロッパへ渡りサハラ砂漠まで旅をする。女が海外を一人旅する場合の怖さも描かれている。作品としてのトーンは前作と引き続き面白いものとなっているが、作者が感じた新鮮さを、前作ほど感じ取ることができなかった。なんだか旅すること自体が目的で、その土地の人々とのふれあいは二の次になっているようにも感じた。それは作者が旅にこなれて、些細なことに感動しなくなったからだろうか。

■ストーリー

ヨーロッパを駆け抜け、サハラ砂漠を目指してアフリカへ。しかし、憧れのイスラムの国モロッコへ足を踏み入れた途端、次々と襲いかかってくる髭面の男たち!思わぬ貞操の危機に「女はつらいよ…」と呟きつつも、今度は砂漠を徒歩で突き進む!!過酷な大自然で絶対絶命の危機を救ってくれたのは!?痛快ハチャメチャ紀行エッセイ第二弾。

■感想
本作は女が海外を一人旅するうえで直面する危険をリアルに描いていると言ってもいい。自他共に認めるお笑い系の作者でさえも、女を自覚させるような出来事が多数登場する。実際に、前作を見ると確かになかなかパンチの効いた雰囲気を持っているなぁと思った。しかし、偶然ドラマ(ガンジス河でバタフライ)の番宣を見ていると、そこに作者が登場していた。イメージよりもお笑い系ではなく、見た目はわりと普通だった。しかし、話すとなんだか酒やけした大阪のおばちゃんのような声だったのが妙に印象的だった。

前作と比べると、一人で行動し、現地の人々と仲良くなるというのが格段に減っている。しかし、旅先では相変わらずたくましく生活し、旅を楽しんでいる。特にスペインで言葉が通じないなか、いつの間にか店中が誕生日を祝うハッピーバースデーの大合唱になっていた場面では、想像するとなぜか少し目頭が熱くなった。言葉の通じない
異国の地で暖かい歓迎を受けると、同じ日本人としても少し感動してしまう。

サハラ砂漠での無謀な徒歩での旅。普通に考えると到底ありえないことだが、旅のテンションなのか、作者たちは砂漠を徒歩で旅しようとする。この勢いはまさに前作と同じ勢いだろう。ただ、その中では旅に似合わない、淡い恋愛模様も描かれている。作者に限って旅先でのアバンチュールは絶対にありえないものと思っていたが、何が起こるかわからないというのはこのことだろう。驚きと、衝撃と共に、旅とはこうゆうものだと、妙に納得してしまった。

サハラ砂漠からモロッコへ、作者のたびには似合わない恋愛模様がつづくのか、それも気になるところだ。



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