リミット 


2006.12.12 心が痛くなる前半 【リミット】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
深紅もそうだが、冒頭からかなり衝撃的な事件が起こる。単純な誘拐事件だがその裏には子供の臓器売買が関わっているとなるとそれだけでブラックでディープな雰囲気がある。直接的な表現はされていないが、頭の中ではどうしても臓器を切り取られる子供の姿を想像してしまう。冒頭読者を引き付ける材料としては、過激だがこれ以上ないほどインパクトはある。そして本作のもう1つのポイントである誘拐事件においての婦警と犯人との関係だ。1つの誘拐事件で複数の子供が誘拐されるというのはありそうでないパターンだ。しかし、衝撃的な前半にくらべると後半はありきたりというか、少し漫画チックに感じてしまった。それは激しい銃撃戦のせいかもしれない。

■ストーリー

連続幼児誘拐事件の謎を追う警視庁捜査一課・特殊犯捜査係勤務の有働公子。婦人警官でなく、一人の母親として事件の当事者となってしまった彼女は、わが子を取り戻すため、犯人のみならず警視庁4万人を敵にまわすことに…。驚愕の展開、そして誰も予想だにしなかった戦慄の結末。

■感想
目的を明確にせずひたすら子供が誘拐される場面を続けた冒頭。これだけで何かとてつもなく恐ろしいことが起こっているかのような気がした。バックにある組織はとてつもなく大きく、恐ろしい計画が着々と進んでいる。そんな気にさえなってきた。しかし実状は臓器売買という恐ろしいことには変わりがないが、その組織が少数のグループだということにちょっと規模的な面で物足りなさを感じた。

誘拐事件が起こり、そこで身代金受け渡し時の犯人からの要求。これが第二の衝撃だったかもしれない。この部分はまさか、そんな手を使ってくるとは思いもしなかったのでインパクトは大きかった。常識的に考えれば婦警の行動は納得できないものもあるが、それは子供を誘拐された母親であるからこその衝動的な行動なのだろう。

前半部分での強烈なインパクトを引き継ぐ形で後半は犯人と警察と婦警の三者の思惑が交錯する。ここからどのようなトリックや衝撃的な出来事が起きるかと期待していたが、予想に反して普通な展開になってしまった。おそらく今まで現実的であった物語が銃を持って暴れまわるあたりになると、何か映画というか
主人公が決して死なない西部劇を見ているような気分になってしまった。犯人と婦警の激しい銃撃戦であっても、心の奥底ではどうせ生き残るんだろという思いがあった。

前半のインパクトを考えると、どうしても後半が物足りなくなってしまう。それは深紅のときと同じような感想かもしれない。



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