レイクサイド 東野圭吾


2006.5.21 過剰な親バカっぷり 【レイクサイド】

                     
■ヒトコト感想
映画はそれほどでもなかった。原作はというと・・・・。登場人物達の内面描写がまったくないのでどうしても人間味は薄れてしまう。人間味が薄れるとそれだけ感情移入することが難しいわけで。どこか他人の話を聞いているような感覚に陥ってしまった。相変わらずこの作者の作品はサラリと読むことができ、さらに特徴としては最後に余韻を持たせる終わり方をする。特に今回も最後の終わらせ方で自分の中での評価はかなり上がったと思う。

■ストーリー

妻は言った。「あたしが殺したのよ」―湖畔の別荘には、夫の愛人の死体が横たわっていた。四組の親子が参加する中学受験の勉強合宿で起きた事件。親たちは子供を守るため自らの手で犯行を隠蔽しようとする。が、事件の周囲には不自然な影が。真相はどこに?そして事件は思わぬ方向に動き出す。

■感想
四組の親子。特に親と子供の対応関係が小説だとイマイチはっきりしないような気がした。映画を先に見てしまったので、どうしても映画のキャストをイメージしてしまう。それによって何か弊害があるかというと、特にはないのだが、イメージに合わない発言をしているとちょっと?と思うことはある。映画とは微妙にストーリーが違っているのも驚いた。

受験戦争の犠牲者と言っていいのかわからないが、子供たちの存在感がまったくない。親たちがメインというのもあるが、その親たちの一番の宝物であり、本作のポイントでもある子供たちの印象が少なすぎて、リアリティを感じることができなかった。子供たちの親に対する気持ちや考えを表すような行動描写がもっとあれば、よりリアルに感じることができたのだろうか。

親たちの子供に対する熱心さ、そして受験サークルのような親たちの集まり。別荘で受験合宿までするほどの関係に、なぜか気持ち悪さと不自然さを感じた。それが作者の狙いかどうかわからないが殺人事件を協力して隠蔽するほどの協調性を子供のためとはいえ発揮することに現在の親たちの過剰な親バカぶりをアピールしているのだろうか。

親たちの殺人隠蔽する行動が、どうしても危険に思えてしょうがなかった。しかし、それを暴くのはまた別の探偵なり、刑事がやることなのだろう。東野作品によくある刑事目線の作品などで。




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