2006.3.19 ある意味伝説的な古典 【ライ麦畑でつかまえて】
■ヒトコト感想
50年も前の作品を今更読む。時代も変化しているだろうが、読んで違和感を感じたのは金の価値くらいでそれ以外は作中の設定で違和感を感じることはなかった。それ以外に気になる部分が多すぎたからだ。まず全編通しての口語体の文章がとても気になった。というよりも読みにくかった。口語体をそのまま文章にされるとよっぽど整理されていなければ非常に理解しにくくなる。特に本作のように周りへの反抗が描かれている場合は臨場感は伝わってくるが、真意は伝わってこない。結局何がしたかったのか分からなく、読み終わった後になんだったのだろうという疑問だけが残った。
■ストーリー
インチキ野郎は大嫌い!
おとなの儀礼的な処世術やまやかしに反発し、虚栄と悪の華に飾られた巨大な人工都市ニューヨークの街を、たったひとりでさまよいつづける16歳の少年の目に映じたものは何か?
病める高度文明社会への辛辣な批判を秘めて若い世代の共感を呼ぶ永遠のベストセラー。
■感想
理由なき反抗なのか。結局何が言いたいのか良く分からなかった。これを高校生くらいが読むと共感できるのだろうか。何に対しても反抗したくなる時期はあるが、そうだとしても趣旨が理解できない。口語体の文章によって若者の無軌道な雰囲気は十分に伝わるのだが、そのために読者に物語を理解させるということに欠けているような気がしてならない。
16歳の少年の目からみた社会批判なのだろうか。批判の矛先が的外れで、どうにもただの八つ当たりに感じられた。こんな少年が自分と同年代にいたら恐らく相手にも受け入れられなかっただろうが、こちらも受け入れることはできなかっただろう。冷静に考えると反抗期にしてはあまりに大げさすぎるようにも感じた。しかし妹とのエピソードは心打たれるものがあり別の意味で自分にも妹がほしいなんて思ったりもした。
言い訳がましいところも気になった。自分の行動に対していちいち言い訳が付け加えられ、どうにかして自分の正当性をアピールしているような・・・。これは今の年代だから思うのだろうか。もし同年代であれば共感でき、影響されていたのだろうか。
タイトルがなんとなくオシャレなような気がしたのだが、中身は30を間近に控えた男が読むには苦痛でしかなかった。
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