パーフェクト・プラン


2006.2.28 流行り物が盛りだくさん 【パーフェクト・プラン】

                     
■ヒトコト感想
身代金ゼロの誘拐事件。確かに内容はそうなのだが、これは誘拐する必要があったのだろうか?根本的な話になってしまうが中身は単純に株で儲けたという話で、それだけならば誘拐する必要性がない。IT系の用語を多数登場させ、いかにも作者の得意分野で勝負しているような流れを感じる。ハッカーの件など面白いのだが、どうしてもとってつけたような印象がぬぐえなかった。ミステリーという印象も薄い。

■ストーリー

代理母として生計を立てている良江は、かつて出産した息子を救うため、ある“犯罪”を企てる。そして始まる「身代金ゼロ!せしめる金は5億円!」という前代未聞の誘拐劇幼児虐待、オンライントレード、ES細胞、美容整形…現代社会の危うさを暴きつつ。予想を裏切り続けるノンストップ・誘拐ミステリー。

■感想
さまざまな要素がてんこ盛りで、読者を頭が良くなったような気分にさせてくれる。理系的な情報が多数詰め込まれており、興味がない人や拒否反応を示す人にとっては余分な部分かもしれない。作者がこの分野、特にコンピュータ系に詳しいのか、ハッカーの描写やウィルスの説明など分かりやすく描かれている。あまりに知識をひけらかしすぎてちょっと嫌味な感じになってしまっているかもしれない。

オンライントレードやIT、ES細胞など旬なネタが多い。時事ネタがそれなりに組み込まれており旬なのは分かるが、ちょっと詰め込みすぎな印象派ぬぐいきれない。本作はミステリーとしての評価が高いようだが、僕はミステリーとしてはあまり感銘しなかった。ミステリーというよりも、時事ネタや流行ネタを多数使用して、うまく物語を構成しているといった印象の方が強い。

パーフェクトプラン。確かに完璧なんのだろうが、一番完璧なのは単純に株取引だけをおこなって儲ければ済む話だ。子供はそれなりの施設に連絡すれば済む話だと思うし・・・。そんなことを考えてしまうと物語が成立しないというのは分かっている。しかしどうしても言いたいのは誘拐事件をきっかけにした株取引のメリットが本当にわからなかった。

読み終わった印象は、流行のコンピュータハッキング物だったんだということだけだ。



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