パンズ・ラビリンス


2007.11.4 不思議な世界に、不思議な映像 【パンズ・ラビリンス】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
不思議な世界と不思議な映像。おどろおどろしい雰囲気とファンタジーな映像。全体の雰囲気がなんとなくブラックなので、もしかしたら最後はとてつもなくブラックな終わり方をするのではないかとヒヤヒヤしながら見た。結局はなんてことない終わりで、特別ショッキングな出来事もなく、落ち着くところに落ち着いたというような感じだろうか。スペインの内戦が何かオフェリアの世界とリンクしているかと思ったが、そうではなかった。不思議な世界と現実がリンクしているものとばかり思っていたが…。結局よく意味がわからないというのが本音かもしれない。

■ストーリー

1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)は、この恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。

■感想
映像的なインパクトは相当あると思う。ドロドロとしたカエルや両手に目をもつ怪物など。まさしくおとぎの国を映像化したらこうなるのだろうというような雰囲気だ。そこに迷い込んだオフェリアがなぜあれほど、やってはいけないと言われたことをやるのか、そして、現実世界の大尉や母親、そして弟との関係が、不思議の世界に何か影響を与えているのか。終始疑問をもちながら見続けたが、結局明確な答えらしい答えは得られなかった。

突然現れる謎の守護神。そして、現実世界での大尉の残酷さ。この雰囲気は以前にもどこかで感じたことがあるような…。思い出してみると、村上春樹の小説にそっくりかもしれない。突然展開する不思議な世界と、意味はないのだが、その理不尽さをまったく感じることなく受け入れる主人公。そして、現実世界でのありえないような残虐性。村上春樹の小説も結局答えらしい答えがないまま終わっている。本作も同様の結末といえるだろう。

なぞめいた雰囲気と、映像のファンタジーさに騙され、子ども向けかと思うとかなりショックを受けるだろう。そこまで描く必要がないものも、あえて映像化している。大げさに言えば、
ホラーと言えなくもない。結末はしっかりとした結論は出しているのだろうが、完全に幸せだとは思えない。不思議な世界と現実、どちらで生きるのが幸せなのだろうか。

ファンタジーな部分よりも、大尉が死ぬ前に時計を壊し、自分が死んだ時間を息子に伝えてくれというくだりが妙に印象に残った。



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