ねじまき鳥クロニクル 第一部 


2006.6.15 何がなんだか・・不思議な作品 【ねじまき鳥クロニクル 第一部】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
お得意のよく分からない世界だ。夢か現実なのかよく分からない、なんだか地に足が着いていないようなそんな物語かもしれない。登場人物達はすべて不思議な人達でどこかおかしいと感じるのだが、何がおかしいのかわからない。そして意味ありげな言動や出来事が起きるが、それがどんな意味があって何の伏線なのかまったくわからない。おそらく最終的にそれらが丁寧に説明されることもないだろう。第一部という区切りも本作に必要なのかどうか疑問だ。

■ストーリー

ねじまき鳥が世界のねじを巻くことをやめたとき、平和な郊外住宅地は、底知れぬ闇の奥へと静かに傾斜を始める…。駅前のクリーニング店から意識の井戸の底まで、ねじのありかを求めて探索の年代記は開始される。

■感想
普通の作品には何かテーマがある思う。では本作のテーマは何かと質問されて的確に答えることができるだろうか。人に対してどんな物語か説明する場合も、なんだか不思議な話だ。としかいいようがないかもしれない。一貫したテーマがあれば、それなりに心の準備をすることもできる。しかし本作はそれがないため、突然突拍子もない方向に進んでいくので、ついていくのに精一杯だった。

主人公が生活しているその現実すらもしかしたら夢の世界か、もしくは不思議な世界なのかもしれない。何か意味ありげな加納マルタや加納クレタそして不思議な力を持った老人など。何がなんだか分からず、到底現実では起こりえないことが次々と主人公に降りかかる。最終的にこれらの不思議をすべて理論的にきっちりと説明してくれるかというとおそらくそれは期待しないほうがいい。虚構の世界だと分かりきっているが、その不思議さに理由を求めてしまった。

後半に登場する山本が
生きたまま皮を剥がされるシーンがあるが、突然として残酷なシーンが克明な描写と共に入ってくるので、そこだけやけにリアルに感じてしまった。正直、生半可なホラー小説よりもその部分だけは読んでいる間中、心臓がドキドキしっぱなしだった。それほどそれまでのトーンとは明らかに変わった衝撃的なシーンだった。

第一部という区切りを何でここでつけたのか、それはよく分からない。サブタイトルの泥棒かささぎというのも意味不明だが、それら全て気にしてはいけないことなのだろうか。



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