パン屋再襲撃 


2006.12.21 で?という感想 【パン屋再襲撃】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
いくつかの不思議な短編集。長編の元ネタとして書かれた物もあるのだろう。ねじまき鳥や笠原メイが出てきたりとなんだか懐かしいような感じがした。中身は相変わらず何が言いたいのかよくわからない。淡々と言葉をこねくり回しているような印象しか残らない。読み終わった後には「それで、そのあとは?」という感じで何かイベントや事件が起きたのかまったく分からないまま終わるのがほとんどだ。しかし中にはユーモア溢れる雰囲気にのまれてしまった作品もある。それは”ファミリー・アフェア”という作品で、これだけは不思議な雰囲気の中にもユーモア溢れる会話や行動、そしてそのありきたりな普通の日常を描いているのがとても面白かった。結局何が言いたいのか分からないのは同じだが、面白さには惹かれてしまった。

■ストーリー

彼女は断言した、「もう一度パン屋を襲うのよ」。学生時代、パン屋を襲撃したあの夜以来、彼にかけられた呪いをとくための、このたくらみの結果は…。微妙にくい違った人と人の心が、ふとしたことで和んでいく様子を、深海のイメージによせて描く六作品。ところで、いろんな所に出てくる〈ワタナベ・ノボル〉とは何ものだろう?

■感想
ユーモア溢れる短編とよく分からない雰囲気の作品たち。雰囲気でユーモアを表現するのか言葉で表現するのかいろいろあると思うが、僕の場合はあまり理解できなかった。電話口から風の音が聞こえてそれをメモする男。それにユーモアを感じる人もいるかもしれないが、僕はまったく感じなかった。シュールな笑いというのだろうか。それすらも通り越しているような気がする。

直接的なものとして分かりやすかったのが「ファミリー・アフェア」だ。これは妹との関係を何かと皮肉を込めて言葉にする兄の存在。この兄が口にする言葉がいちいち面白かった。ここまで
直接的であればあっさりと理解できるし、その面白さも分かる。さらに言うなら、なんてことない日常の雰囲気もよく感じとることができた。

「パン屋再襲撃」や「象の消滅」などいったいこれにどんな意味があるのか、ユーモアのかけらすら感じとることができなかった。あるのはただ人物達の心情風景とそれに対応する行動描写。そこに何か意味を見出すのが間違っているのだろうか。常識的に考えるとありえない行動と斜め上をいった思考回路。奇妙というほど奇妙ではなくある程度普通な日常の中に突然そこだけ異空間のような雰囲気で進んでいる。不条理を通り越して一周回って面白くなるのだろうか。

理解できないということを楽しむのが正しい楽しみ方なのだろうか。



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