オリバー・ツイスト


2006.3.3 健気で同情を誘う 【オリバー・ツイスト】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
貧困にあえぐ子供の行き着く先はどんな未来が待ちうけているのだろうか。戦後の日本も同じようなものだったのだろう。子供のスリ集団というのはありがちで、それを仕切っているずる賢い大人の存在も定番だろう。オリバー少年の願いはただ食べ物をおなか一杯食べたいだけなのだろう、物語を通して常にひもじさと惨めさがオリバーにはつきまとっている。そんな状態で食べ物を分けてくれる人が現われればそれがたとえスリ集団でも抵抗できるはずがない。

■ストーリー

19世紀の英国。天涯孤独の少年オリバーが救貧院に入れられ辛くヒモジイ生活を余儀なくされる。その後ある事件をきっかけに救貧院を脱出し、一人大都会ロンドンへとたどり着く。そこで彼は悪党フェイギン率いる子どもたちのスリ集団に加わるが、恐ろしい事件に巻き込まれてしまう。

■感想
救貧院時代の惨めな生活。育ち盛りの子供にとって食事が満足にできないということが一番辛いことだろう。おかわりという言葉を口に出すことさえできない生活。そんな抑圧された生活の中でもまっすぐに育つオリバー。見ていて健気で同情を誘う場面だ。

物語の中でオリバーの生活環境がいくつか変わるのだが、オリバーにとってどこが一番幸せだったのだろうか?客観的に見るとブラウンロー氏の家が一番幸せなのだろう。それは当然のことで、まさに夢のような生活だ。しかし、オリバーがものすごく幸運だっただけで、オリバーのような境遇の少年達の大多数は救貧院にい続けるか町でのたれ死ぬしかない。

下流社会の孤児ならば、なおさらフェイキン率いるスリ集団もそれなりによかったのではないかと思う。オリバーが事件に巻き込まれた為に不幸な結果となってしまったが、そこにいる少年達と同じように身の丈にあった、仲間と共に暮らす幸せもあったのかもしれない。不幸な孤児たちがすべてオリバーのように幸運の持ち主ではないだろう。スリ集団を肯定する気はないが、それも1つの生活手段としては確立されていると思う。

オリバー自信も子供達のスリ集団やフェイキンに憎しみをもっていたわけではない。どちらかといえば好意をもっているのだろう。本作の趣旨に反するが、仲間と共に暮らす生活というのも幸せの1つだと感じてしまった。



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